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宗教や信仰についての雑記 #141

◯賢者の石

賢者の石という言葉をしばしば耳にします。
賢者の石とは、中世ヨーロッパの錬金術師が、鉛などの卑金属を金に変える際の触媒となると考えた霊薬であり、人間を不老不死にすることができる究極の物質とも考えられたものだそうです。

現代では、魂を導く智慧の象徴のような意味で用いられている言葉のように思えます。

賢者の石を作る「大いなる業」には「湿った道(湿潤法)」と「乾いた道(乾式法)」の2種類があったそうです。
「湿った道」は材料を「哲学者の卵」と呼ばれる水晶でできた球形のフラスコに入れて密閉、外的条件が整ったら「アタノール」という炉で加熱する方法で、完成まで長い期間、少なくとも40日を要したとのことです。
「乾いた道」は土製のるつぼだけを用いてわずか4日間で完成させるもので、実験を行う環境に恵まれなかった錬金術師たちが用いたそうです。

この話を聞いて私は、何だか仏教の自力と他力に似ているなと思いました。
能力や境遇に恵まれない人たちも恵みや救いに与れるよう、人は簡便な道を探り出すもののようです。

ただそこには、広く普及するというメリットがあると同時に、誤用や誤解を生む危険性というデメリットも生ずることを忘れないようにすべきでしょう。

知識や智慧を多くの人々に行き渡らせながらも、誤りを生じさせない、それが本当の賢者の石なのでしょう。

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