パンづくりを始めたきっかけ
私がパンづくりを始めたのは3年前。
きっかけはパンが大好きだからという理由からではありませんでした。
夜中に自宅の階段から転落し、脳出血と水頭症の手術を受けたのです。
手術はうまくいったものの、退院してから
生活していくうちに今までの自分とまったく違う事に気付きました。
あれ?これって高次脳機能障害ってやつじゃないの?
検査や診察の結果、高次脳機能障害と治りかけの失語症が私には後遺症としてあると分かりました。
私は主に記憶障害と脳疲労があり、失語症は治りかけだけど生活や仕事をする時にすごく困ります。
あの時落ちていなかったらよかったのにと思うこともあります。
でも、起こったことは仕方ないのです。
苦しいけど何とか受け入れて、前を向いてこれからどうやって生きていこうか考えました。
できなくなった事はたくさんあります。
だけど、私にできることって何だろう?って考えてみました。
脳は生きている部分を鍛えればそこでやれることが広がる可能性があります。
だから諦めないでやってきたし、これからもそうでありたい。
できない事をできるようにするのではなく、それを補う手段や工夫で上手に乗り切っていくのがリハビリの目標です。
私は自分でリハビリをするなら好きなことをしたかったので何をしようか探しました。
家にあったリハビリの本に高次脳の方がパン屋さんを開いた話が載っていて、私もリハビリになるなら始めたいと思いました。
パンづくりは工程が決まっているのでリハビリにはちょうど良かったんです。
パンづくりがきっかけになって自信が付き、一年くらいかけて料理ができるようになりました。
その話を失語症のグループで話すと、後遺症のせいで料理ができなくなったけど私も作ってみたいという声がちらほらありました。
そして食べてみたいという声も。
病気やケガをするまでは当たり前にできたことが突然できなくなる悔しさはみんなあります。でも、料理ができなくなったという人も、人に作ってもらうのではなく自分で作りたいのです。
私もできたからきっとあなたもできる!
だから一緒にやりましょう!
そう伝えたい。
同じように病気や障害で悩みを抱えている方と一緒にパンを作って楽しめる時間を持ちたいと思っています。
それで料理に繋がったり楽しい時間になったら最高です。
先生と生徒みたいな感じじゃなくマンツーマンで、最近あったこととかおしゃべりしながら楽しく過ごせる教室がしたいなあと。
そんなことを考えながらパンを作っています。