仮面ライダーガヴがもうおもしろい
仮面ライダーって、(前回のガッチャードもそうだった気がするけど)前半は世界観の説明に尺を取ったりして「あれ?ところでこれって何する話?」みたいに始まることがままある。
しかし、今年のガヴ、そんなことは言わせない。
ライダーの力
仮面ライダーに変身していくうちに、ライダーをライダーたらしめている力に侵され人間でなくなってしまうとか、実は過去に人体改造された結果変身できるようになっていたとか、その手の話は比較的多い印象だが、今回のようなケースは珍しいかもしれない。
ライダーの力の基本原則は「敵と同じ力」であること。ショウマがグラニュートであることを1話で同じグラニュートであることを相手に明かしたことは若手かつライト層のライダーファンとしてはとても斬新。
「ここが母さんがいた世界…」
そう呟きながら主人公ショウマが東京の空から降ってくる。もう怖い。空から降ってきて次のカットでは砂浜で倒れている。偶然通りかかった少年、始に「何か…食べ物を…」と言ってまた気絶したかと思いきや、始の後をしつこくついてくる。「ついてこないで!不審者だから!」と怒られながらも「全然違うんだな!」と我関せずのショウマ。異世界にやってきてウキウキ。怖い。メンタルが強すぎて怖い。
メンタル以外のおもしろい描写はまだあるのだが、それは見てのお楽しみ。
お腹にも口
グラニュートは顔だけではなく腹部にも口がある。「人間を食べるの?!」と驚く始に「食べないよ!…僕はね。」とショウマ。ああ、ショウマは食べないのね。ショウマはね。
初めて人間のお菓子であるグミを食べたショウマのお腹からコロコロこぼれ落ちる声を上げる小さな生き物。「ゴチゾウ」と呼ばれる「僕の眷属」。はて、眷属とは。
かわいすぎるゴチゾウで描く「消費」
ゴチゾウたちは顔の口から食べられそうになると号泣したり、ショウマに変身の仕方を全員で教えたり感情豊かだ。デザインも声もかわいい。
しかし「ポッピングミ」ゴチゾウで変身する仮面ライダーガヴの胸のアーマーのようなものは攻撃を受けると弾け飛ぶ。その弾け飛んだカケラを食べたゴチゾウを仮面ライダーガヴがお腹の口から食べると、アーマーが復活する。お菓子が食べると無くなるように、体のアーマーも無くなってしまう。そして食べたものは血となり肉となる。食べられたゴチゾウは帰ってこない。
幸せの中で死にゆくこと
ガヴが「キッキングミ」ゴチゾウで足に大きなアーマーを纏ってライダーキックを決めると、「シアワセ〜」と言いながら昇天するキッキングミゴチゾウ。眷属は奉仕するために生まれ、その役割を果たすと喜び、死んでいく。
「人間はお前らに食われるために幸せになるんじゃない!」
グラニュートに食べられた人間は悲鳴を上げる間もなく「ヒトプレス」にされてしまう。「いい具合に幸せな顔だ」と満足気なグラニュート。ヒトプレスは上納され、ストマック家の工場で「闇菓子」にされる。「幸せ」なヒト程上質な闇菓子になるらしい。
なんでも屋はぴぱれのギャル社長、幸果は人が幸せになれる手伝いをしたくて店を始めたという。「つっても金もらってんだけどね。自分語りヤバッ」と笑う幸果に「ヤバくないよ!」「かっこいいよ」と伝えるショウマ。
幸せってなんだろう。
おいしいものを食べたとき?誰かの役に立てたとき?誰かを幸せにできたとき?
なんのために幸せになるんだろう。
自分のため?大切な誰かのため?それとも…幸せの中で人生を終えるため?
「幸福度」が数値化されランク付される世界に、仮面ライダーガヴは疑問を投げかける。(のかもしれない。)