HSP（繊細さん）の日常④【超ショートショートまとめ】
薄井一彦は猫背を注意された途端に胸を張った。
上司は「堂々とした男は職場に活力を与える」と講釈を述べ、薄井一彦は怒りは収まったのだと安堵してそれを傾聴した。
後日、薄井一彦は客や同僚の自分に対する緊張を察知し、猫背が威圧感を与えないための無意識の工夫であったことを知った。
架空の現代人、薄井一彦（うすい かずひこ）の日常を描いた超ショートショートのまとめです。
薄井一彦はHSP（繊細さん）です。人の言葉や光や音など、外部からの刺激に敏感な体質を持っています。
人付き合いにダメージを負いやすい薄井一彦ですが、体質に合わない営業職の仕事をしています。
なぜ薄井一彦が営業マンになったのか。詳しい経緯は〈薄井一彦のプロフィール〉にて。
〈薄井一彦のプロフィール〉
HSPには下記の長所・短所があります。
〈HSPの長所〉
共感力が高く優しい
気配り上手
感受性や想像力が豊か
仕事が丁寧
計画を立てられる
〈HSPの短所〉
落ち込みやすい
外部からの刺激に弱い
マルチタスクが苦手
仕事に時間がかかる
優柔不断
参考：
「そうすれば？」
HSPの薄井一彦が仕事の進め方について相談すると、先輩は含み笑いを浮かべて言った。
わざわざ聞くようなことかと呆れられたのか。
それとも失敗するだろうが勝手にすればいいと突き放されたのか。
薄井一彦は煩悶した。
それは相談した仕事が無事に終わった後も続いた。
2枚の鏡が向かい合った。
一方の鏡は丈夫で、もう一方は脆い。
丈夫な鏡はふざけて相手にぶつかった。
自分が映っているので耐えられると思っていた。
しかし脆い鏡にひびが入ってしまった。
脆い鏡は相手に映った自分を見て、丈夫な鏡も罪悪感で傷付いていると思い、慌ててひびを隠した。
HSPが苦手なタイプの人は、下記のとおりです。
高圧的な人
デリカシーがない人
感情の起伏が激しい人
否定から入る人
悪口を言う人
裏表のある人
ネガティブな発言が多い人
マナーが悪い人
自信があり過ぎる人
発する音がうるさい人
参考：
人名がびっしりと並んでいる。
HSPの薄井一彦は上司から顧客リストを見せられていた。
「これだけの人の役に立っているんだ」
上司が横から髭の濃い顔を寄せる。
「やる気が漲るだろ」
上司の期待とは裏腹に、薄井一彦は重圧を感じていた。
が、「はい！」と髭の痛みに耐えながら返事をした。
「鈍感と敏感」
筋骨隆々で肌の焼けた男は、チョコレート風呂の水面から顔を出すとニッと金歯を覗かせた。
「甘くて温いぞ」
筋骨隆々の男は風呂の縁にいた、瘦躯で色白の男の手を引き、無理やりチョコレート風呂の中に入れた。
痩躯の男は「苦くて熱い」と悶え、筋骨隆々の男は「大げさだ」と哄笑した。
下記の仕事は「HSPに向いていない」とされます。
沢山の人とコミュニケーションを取る仕事
臨機応変さを求められる仕事
スピードを求められる仕事
マルチタスクを求められる仕事
ノルマが厳しい仕事
封建的な会社での仕事
残業が多い・休みが取りづらい仕事
クレーム対応が多い仕事
責任が重い仕事
参考：
不意に爆音が鳴った。
一瞬の間があってから、開いていたドアが風で閉められたのだと気付いた。
「……っくりしたぁ…」
誰かが独り言ちた切り、皆はそれを話題にすることなく業務に戻った。
しかし、俺の動悸は中々収まらない。
（ドアを閉め忘れたのは俺かもしれない）
そう思っていた。
飛行船は遠方に一羽の鳥を発見した。
どうやらこちらに近付いて来ているらしい。
少しして目の前まで来た鳥は飛行船に言った。
「久しだね！」
「た、確かに…」
口を合わせたものの、飛行船は鳥を覚えていなかった。
鳥は親密そうに挨拶のキスをした。
飛行船は破裂して落下してしまった。
HSPの下記の4タイプがあります。
HSP(Highly Sensitive Person)
↳刺激に対してネガティブな反応を示し、なおかつ内向的。物事を深く考えてから行動したがる。
HSE（Highly Sensitive Extrovert）
↳刺激に対してネガティブな反応を示す一方で外交的。人と一緒に物事に取り組みたがる。
HSS（High Sensation Seeking）型HSP
↳刺激に対してポジティブな反応を示す一方で内向的。興味がある人とは関わりたがる。
HSS型HSE
↳刺激に対してポジティブな反応を示し、なおかつ外交的。しかし疲れやすい。
※ちなみに割合は、HSP・HSS型HSPが約70％、HSE・HSS型HSEが約30％です。
参考：
読んでいただきありがとうございました。
HSPの方が特性に合った環境に恵まれますように。