思いのままにただ綴るドラマ・アンメット愛8~ミヤビちゃんの記憶障害
第1話のテーマ「失語症」が登場したところで、ぽん、と場面が飛ぶんです。
ミヤビちゃん、三瓶先生の職場「丘陵セントラル病院」を離れて、「関東医科大学」が舞台になります。
最初、病院名も覚えていないから、ちょっと混乱したんですよね。見落とし厳禁です(笑)
大迫教授
いきなり、観葉植物に水を与えている、幸せそうな白衣の男性。
横合いから声を掛ける、別の白衣の男性。
「はは、艶が戻りましたね」
「うん~、だね」
と、そこへノックの音。
「失礼します」
お茶を持ってきた女性。いきなり、お初三人登場です。
かなり広いお部屋の全景が壮観です。たくさんの観葉植物が配され、天井にまで飾られて。真ん中の応接セットが小さく見えるほど広いお部屋。
女性が怪訝そうに「あれ?教授ぅ、また増えてません?」
どうやら水遣り男性は、「教授」です。女性は白衣ではなく、コンサバお嬢様風ファッションです。
まだ、人物の関係図が見えないんだけれど、予想はつく、というファーストシーンです。
増えてません?と言われて、笑ってごまかす、教授は可愛くて人当たりが良い、という印象。
植物に「この子」という教授。愛みちみちです。
「押しつけられてるじゃないですかあ!」と叱咤気味の女性。
二人の会話をどう思って聞いているのやらよくわからない、若い男性。
と思ったら、帰ろうとする男性に、教授が声を掛けます。
「綾野くん!昨日の手術。あれは見事だったよ」
お世辞や社交辞令でなく、本気でそう思ってます、のモード。
丁寧にお礼を言って出て行く綾野くん。優秀なお医者なんですね。
と、扉を開くと誰かが……「すみません」
「どうぞ」と綾野くんが招き入れたのは、、まさかのミヤビちゃん。
その手には枯れかけた植物(笑)。「こんにちわー」とかなりフランクです。春コート姿。
「ああーー……」と女性。
植物がまた増えちゃう、という「ああーー」だと思いますが、植物を仲介することで、キャラクターを見せつつも、個々の関係性をはっきりさせない、関わりについて謎を残す展開になっているのだと思います。
ここで、名前も出てないけれど、相関図で「教授」を確認しておきます。
「脳外科医の権威」という言葉は、ドラマの中では出てなかったように思います。でも、相当な人物、というのはわかりました。そして、「それを感じさせない柔和な人柄」までは、もう初登場シーンではっきり出ていましたね。
ミヤビちゃんの主治医。
古くからの知り合い。
そのあたりはまだこの時点の映像ではわかりません。
公式の第1話紹介文からの抜粋です。
記憶障害の経緯
「今の自分の状態は、日記で。確認してきた」
「はい」
白一色の応接椅子に座って向かい合う、教授とミヤビちゃん。
この教授室内で診察なんですね。
❓未だにわかんないこと。
個人的な診察、ということでしょうか。そういう待遇について、庶民なもんでよくわかりません。
ここで教授は、ミヤビちゃんの口から、自身の記憶障害について説明させます。
おい、視聴者もよおく聞いて理解しなさいよ、の場面です。
ミヤビちゃんのひざの上には、例の革のバインダーの日記があります。それを、不安げに握る手が映し出されます。
手の表現。
これを丹念に映していく。
「アンメット」はそういうドラマでもあることを、段々に感じて行くのですが、これがその最初かもしれません。感情を表わす手のアップ。
主治医が診察中、ってことのようです。
うんうん頷きながら聞いていた教授、「しっかり把握できているね」。
把握できてるね、たって、これ、毎日、毎朝、把握し直すんで、一度把握出来たら終わり、じゃない。「しっかり把握」できていると確認できるのは今日だけ、明日はわかんないじゃん!と素人な私は思ってしまいますが。
今日把握できてるってことは、明日も恐らく大丈夫、ってことなのでしょうかね。どちらにしろキツイ作業ですよね……。わけわからないまんまで、状況を突きつけられる。
と、ここで、じっと教授を見つめるミヤビちゃんの顔に、星前先生の声がかぶります。
これは、じっと黙って聞いている三瓶先生に向かって、星前先生がこの場にいないミヤビちゃんの状態を説明している声ですが、
その間にも、映像は様々なことを説明しています。
でん、とデスク前に腰かけている三瓶先生の後ろ姿。
その場にいないミヤビちゃんのデスクを見ているようだけれど、体は三瓶先生の方をちゃんと向いている星前先生。
表情の伺えない、でも明らかにじっと聞いている三瓶先生。ああ、見てるこっちが泣きそうになる表情です…。
帰宅するんだろうミヤビちゃんが、関東医大のロビーで、綾野くんとすれ違う時に会釈するんだけれど、
「あ、さっき教授のお部屋で会った人」と思っているのか、
それとも「2年以上前の知り合い」で知っているのかまでは、まだ映像では明かされない。
ただ、すれ違いざま笑顔を見せた綾野くんは、、振り返って、様子を見ている。なぜだかは不明。表情も読めません。
こういう小さな謎が、視聴者である私たちにも、そして、アメリカから来たばかりの三瓶先生にも、記憶が持たないミヤビちゃん自身にもあるという、三重構造です。
じいっと耳を傾ける三瓶先生の顔。
❓その後の展開を知ってからでも、この時の三瓶先生の思いは私ごときにはわかりません。
思い出してくれそうな可能性がなくて、しょげているのでしょうか。
知らないことばっかりで、彼女のこれまでの日々を思って辛くなっているのでしょうか。
得た情報を精査して、次なる自分の行動を考えているのでしょうか。
そのすべてかもしれません。
「星前先生のことは覚えているってことですね? ぼくのことは覚えてないのに?」って言いたいのをこらえてたりして!?違うか!
「食」のドラマ
一転して、ミヤビちゃんの食事の光景です。
肉じゃが。たこの酢の物? お浸し?
お味噌汁。とにかく和食ですね。
丁寧に、食事の光景を映しています。
自炊なんでしょう、一人暮らしだもの。
圧倒されるような、「しっかりごはん」です。
この素晴らしい食卓にすら、まさか大きな大きな意味があるなんて。
初見ではほぼスルーした場面です。アンメットは全シーン、うっかりスルーを許しませんね。
缶ビールを開けます。そして、飾ってある人形に向かって、
「お疲れ」と小さく乾杯し、
しっかり「頂きます」をして、
肉じゃがを、大きな大きな一口です。ぐふ!
つい、これを思い出します。 ↓
こちら ↓ ミヤビちゃんが杯を掲げる印象的なお人形も調べてみました。
「アンメット」は手の表現で辿れるドラマ。
そしてもうひとつ。
「食」を大切にとらえているドラマ。
であることが、この第1話ですでに提示されていました。
それらに気付くのは、ずっとずっと、後でしたが。
9 へ続きます。