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映画日記「型破りな教室」

最近、ほんと、日本は治安が良くないといいますかねえ。
「人に迷惑を掛けない」というような美徳が、鼻で笑われる感じというのか、、
騙される方が悪いんだよ、みたいなことが横行しているというか。

街を安心して歩けない。
人を信用できない。
そんな感触がどんどん増してきて、、辛いです。

でも、海外からの旅行者さんなんかが、
それでも全然日本は安心して旅行できる、みたいなことを仰るのを聞いたことが。

ええーー。そうなの?そうでもないんじゃ?って思ってましたが、
いや、、、そうなのかも。
なんて思った衝撃のオープニング。
舞台は、メキシコ、マタモロス。2011年の奇跡。
映画「型破りな教室」見てきました。

麻薬と殺人が日常と化した国境近くの小学校。子供たちは常に犯罪と隣り合わせの環境で育ち、教育設備は不足し、意欲のない教員ばかりで、学力は国内最底辺。しかし、新任教師のフアレスが赴任し、そのユニークで型破りな授業で、子供たちは探求する喜びを知り、クラス全体の成績は飛躍的に上昇。そのうち10人は全国上位0.1%のトップクラスに食い込んだ!

アメリカとの国境近くにあるマタモロスの小学校で2011年に起きた実話を描いた本作は、本国で300万人を動員し、2023年No.1の大ヒットを記録。更にアメリカでも限定公開かつスペイン語作品にも関わらず初週5位の快挙をとげ、絶賛の嵐は北米まで広がった。『コーダ あいのうた』に続いての教師役ながら、新たな魅力を発揮したエウヘニオ・デルベスにも注目。

未来を望むことさえしなかった子供たちが、可能性や夢に出会い、瞳がきらきら輝きだす光景に、心打たれる奇跡の感動作が誕生した。

映画「型破りな教室」公式サイトより
映画「型破りな教室」

「治安最悪な国境の町の小学校で起きた奇跡の実話」の惹き句にどきどき。

ブラジルがみんなこうだ、ってことは全くないでしょうが、少なくともここまでの地域は、日本にはないでしょうね。海のおかげで。
だけど、もしもこういう土地が一か所でもあるのだとしたら…と、想像するだけで身が竦みます。

そんな、殺伐とした光景を描いた後…
学校の光景にも驚き。
小学校??うっそ。な厳重警備。
まともに学校へ通うなんて何の意味もないと考えている不良……いや、ギャング少年たち、、親もまた同様。そこにあるのは、どうにかして生きなきゃならない現実と、未来への絶望。
麻薬は身近に蔓延し、銃などによる殺人も目の前で日常的に起こる。
だけじゃない、教育者の腐敗がもう、ひどい!

つい最近、「小学校~それは小さな社会~」を見たばかりなので、ああ、なんて日本は恵まれてるんだ、どんな文句があるもんか、なんて思ってしまいそうなほど。

きてれつな先生が、生徒の成績をあげてく系のドラマなら日本にもあって、「ドラゴン桜」がまず思い浮かびますが、そういうスーパーな先生じゃなくて。

「コーダ あいのうた」でのバキバキのV先生ともまた全然違う、どっちかというとよれよれ、疲れた感じの、エウヘニオ・デルベス演じるフアレス・コレア先生が、この学校に来る以前に挫折を経験していることが語られ、常に悩んでる、悩んで悩んで子どもたちとの向き合い方を考えている姿を見せてくれます。悩める男は素敵だわん。

「コーダ あいのうた」の主人公とV先生
主人公・コレア先生

パソコン室はあっても、使えるパソコンが1台もないことにショックを受けるコレア先生。
てことは、2011年のメキシコの他の地域ではそんなことはなかったってことですよね。

パソコンがなくても調べられる!と図書館に向かうも、百科事典は1970年代のものが最新……とほほ。しかも、全巻揃ってない(´;ω;`)
で、この図書館の司書がいろいろとひどいんですけどね、、

でもね、聞いてくださいよ文科省さん?教育委員会のみなさん?
このメキシコで一番成績が悪くて、治安最悪な町の学校でさえ、2011年の時点でいつでも学校図書館に司書が勤務しています。
日本の小学校では、司書さんがいつでもいる学校なんてまだまだ少ない!
物はあっても、本があってもねえ、それらを使うためにはまず人の配置が必要ですよねえ?違います??

と、うっかり話が別の方向へ行ってしまいましたが。

最終的に多くの子どもたちの「学力テストの成績がとんでもなく上がる」ということがラストで語られるんですが。

でも、決してそれを伝える映画ではない…。
学ぶことの意味、教育の本質。
むしろそれは、学力テストの点をあげるところにはないんだよ、って話なんですよね。
彼らは、思うまま望むことを貪欲に思考し調べて共有しあった結果として、「勝手に学力がついてきちゃった」ってことなんだと思う。

一人の教師が頑張ったって、全ての貧困や暴力の前に屈するしかない子どもたちを救えないけれど、一人からでも始めなきゃならないし、一人を救うことは、たくさんの子どもたちを救う未来にもつながっている。
成功の陰にたくさんの挫折がある(あ、アンメットだ)し、、
誰かの未来を思うたった一人が導く奇跡だって、きっとある。

学びの過程が楽しい、もう、大人も見ていてわくわくします!コレア先生のもとで小学生から学び直したいぐらいです。
「知らない」ことからすべては始まる。知らないから、見つけること、考えることは楽しい。
教室の誰もが自分の興味を大切にしてもらえて、一人一人の個性を見つめてもらえて。こんな学校生活なら誰だって、ほんっとに誰だって、きっと学習が楽しくなりましょう。

いわゆるアクティブラーニングは、今は日本でも実践が進められてはいるけれど、主に、自分自身は画一的な教育しか受けて来なかった大人たちが先頭にいますから、まだまだ右往左往しているのが現状でしょうね。これからに期待。

教育問題の映画かっていうと、もちろんそれだけじゃなくて。
小さな恋のメロディあり、トレインスポッティングあり、スラムドッグ$ミリオネアありグッドウィルハンティングありと、悲劇と感動てんこ盛り。

ネタバレぽくなっちゃうからあんまり詳しく書きませんが、
コレア先生が小舟を海へ送り出すシーンは、大好きブラッド・レンフロくんの「マイフレンド・フォーエバー」でした、、私的に。

「マイ・フレンド・フォーエバー」より

きゅ、、と来ました😿

エキサイティングで笑えて泣ける素敵な映画でした。

ニコとパロマ



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