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思いのままにただ綴るドラマ・アンメット愛6~「なんですか?」に掴まれる
2024年春ドラマ、月曜夜10時放送カンテレ制作のドラマ「アンメット ある脳外科医の日記」第1回の感想、の続きです。on-airは4月15日。
主に、私の心を鷲掴みにして未だに離してくれない三瓶先生(「掴んでないですよ、勝手に何言ってんすか」いやんそれを言わないでっ)への思いを綴っています。
アンメット愛1は、目覚めから日記をめくる姿のカメラワークの美しさ、
アンメット愛2は、さりげない姿、会話に見える心の内側を探る楽しさ、
アンメット愛3は、ひたすら三瓶先生愛、
アンメット愛4はついに、ミヤビちゃんと三瓶先生が自己紹介しあい、
アンメット愛5で、星前先生、風間先生とも会話を交わしました。
でも、ドラマ放映の時間数的にはここまでで5分半ぐらいかな(笑)
それでも、端折ってたりするんですよねー。
たとえば、ミヤビちゃんが三瓶先生を連れて来たのを見て、風間先生が慌てて自分も自己紹介しようと準備始めてる姿、芸が細かい!(笑)とか。
それだけ、詰まってるんですよね。
流れていかない。ワンシーン、ワンカット、いちいち語りたくなる。
で、ここからやっと、物語が動くところです。
緊迫の急患到着シーン
救急車からストレッチャーに乗せられた女性がおろされ、「レナ!レナ!?」と女性を呼んでいるような声が聞こえてきます。
まず急患女性を出迎えているのは救急部長・星前先生。「わかりますかー!」と大声で声を掛けます。その間も、付き添いの男性は叫ぶようにひたすら「レナ」を呼んでいます。
緊迫の場面。「変なの来たな」からの、一変するこの空気。
「助かりますよね?」と急ぐ男性に「落ち着いてください」と星前先生優しく声を掛け、引き続き、女性の様子を確認します。声をさらに張り上げ「お名前言えますかー!?」
意識レベルを確認しているんですね。
「レナ」コールの止まらない男性を一生懸命止める看護師さん。
この方も、公式でクレジットがありませんが、この方のようです。
こぴさん。
可愛い方。
看護師経験者なのですね。
何か、どこかで出演の感想を語ったりなさっているのかしらん。
この間、ずっとドラム音が早鐘のように低く激しく響いています。
この男性以外はみんな冷静。淡々と素早く受け入れ態勢が整っていきます。
そして、その様子とかぶる三瓶先生の声。
「脳梗塞です」
あ、さっき星前先生は「脳卒中か」と言っていたけど、同じことなんでしょうか。こういうことが私、全然わからない。調べてみたら、脳卒中が総称で、その様々な症例のうちの一つが脳梗塞ということのようですかね。
なんですか?
激しいドラム音が止み、再び不穏なストリングスをバックに、場面変わって、待ち合いで椅子に座る男性を前に急患の状態を説明し、治療の同意を確認する、診察を終えた直後らしい三瓶先生。その傍らにいるミヤビちゃんと大槻看護師。
ドラマの最初なのに、たとえば、診察しているときの、手術しているときの、医師の、的確見事な仕事姿をかっこよくエンタメ的に見せる、ということをしてない。
対患者の場面として、焦点はむしろ、流れるように淡々と冷静な処置姿に当たっている。
この造りが、何と言いますか、、こちらには非常に良心的に響くと言いますか。それが、この、まだ開始5分すぎの時から始まっていたことに、あらためて感動します。
命を扱う物語として、リスペクトできる部分ではないかと思っています。
三瓶先生は横を向いた全身が映っています。
両手を後ろで組んで、首がちょっと前に突き出ています。これね。この姿勢…ちょっと思ってることあるんだけれど、またそのうち気が向いたら書きます。
説明する三瓶先生を見、説明が終わると男性を見て、その二人の様子を伺うミヤビちゃん。何を思っているのでしょうか。真剣なまなざし。
説明を続ける、何と言うか、、ちょっとこう、覇気のない三瓶先生。
目の輝きが乏しい。
女性の容態が芳しくなく、時間もないので、三瓶先生にも不安があるのでしょうか。極めて冷静ですが。
この冷静さがいいです。余計な不安を煽らない。患者の家族にも、視聴者にも。
ただ、ここまでの三瓶先生で一番の、顔のアップじゃないでしょうかねえ。
それ以上のアップで、不安を伝える男性。
「あの…き、危険な治療なんですか」
具体的かつ丁寧に即答する三瓶先生。表情は変わりません。
「すぐにお願いします」
同意を得るや、三瓶先生の目は微妙に力強くなり、頷きながらの「わかりました」の声にも、言葉にしていない「きっと助けます」が漲っているようです。
一方で、この時のミヤビちゃんの顔。なんだか辛そう。患者への心配でしょうか。
治療方針が決定し、患者のもとへ向かう前に、傍らのミヤビちゃんにわざわざ「行きましょう」と声を掛ける三瓶先生。
すると、BGMが止まりました。
「行きましょう」という三瓶先生、それは
一緒に治療しましょう、当然ですよね、あなた、脳外科医なんだから
という態度。
ですが、、
ミヤビちゃんはやっぱり「すみませんっ」と慌てて三瓶先生を呼び止めます。
急ぎつつ、くるりと不満げに振り向き、ミヤビちゃんを見つめる三瓶先生の顔。なんしろ、時間ないのでね。
「わたしは、、」
とミヤビちゃんが声を発すると、三瓶先生やっぱり、目がきゅっと輝く。
全身で一言一句を受け止めてる感が凄い。
でも発する言葉は
なんですか?
ぎゃーーっ掴まれましたよ今!
低くて小さい小さい声なんだけど、、怖いよ!それ、初対面の二十代女子は怖いですよ三瓶先生!!!
ざらっとしたこの声。私は好きだよ三瓶先生。だけど。圧です圧!
三瓶先生的は単に、普通に疑問だから質問してるんだろうけれど、
今は一刻の猶予もないのに、あなたどうしてもたもたしてるんですか?
としか見えません。心では、全然そんな風に冷たくなくても。
これじゃミヤビちゃん、二の句が告げないよ~~と思っていたら、自己紹介4人目のご登場です。
「いけません」
なんですと??
看護師長の津幡です
と、つかつかと歩み寄る熟練ぽいスレンダー美人看護師。ああー、よく働く、てきぱき看護師感満載。
「この病院の、医療安全室長も兼務しております」
一呼吸置いて、続ける津幡師長を、頼もし気に、でも不安感も拭えないまま見つめるミヤビちゃん。
「川内先生には、医療行為を控えて頂いておりますので。ご了承ください」
津幡玲子 吉瀬美智子
丘陵セントラル病院・看護師長。
病院の医療安全室長も務めている。病院内のいかなるリスクもミスも許さない“安全の鬼”。その徹底ぶりは周囲を恐れさせている。三瓶がミヤビを強引に医者に復帰させようとしていることに対しても、強硬に反対する。
「医療安全室」かあ。
よくわからんけれど、医療事故とかなくすための組織っぽい。
首を突き出した姿勢のまま、じいっと鋭く津幡師長を見つめ、そしてミヤビちゃんに視線を移す三瓶先生。
その心の内、、ああ、、泣きそう。
当然、そんな説明だけじゃあ承服しかねるだろうけど、なにぶん、話し合う時間はありません。
一方ミヤビちゃん、師長から伝えてもらえてほっとしたように、三瓶先生に頭を下げます。「お願いします」と、諦めの決意をほんのり笑顔に乗せている。
……やっぱり。
津幡師長が言うんだから、わたしは医療行為はできない身で間違いない。気持ちはあっても、やれないです。三瓶先生、患者さん、ごめんなさい。
自分をそう納得させているのでしょうか。
二人の顔に、交互に視線を移し、返事をしないで去る三瓶先生。
あくまで、患者の治療が優先ですからねえ、、、。
その後ろ姿、手をポケットに突っ込み、ぐうっと、頭が下がっています。
悩んでいるのかしら。気持ちを切り替えてる? それとも悔しさ、怒りを抑えているのかしら…。
残されたミヤビちゃん……小さく諦めのため息を吐いて、くるっと反対を向いて去る。ああ、美しいカメラワーク。
美しいんですよねえ。カメラがいちいち。ため息です。
カメラ切り替わって、さっきの急患女性が眠るベッドに、早速
「脳外科 主治医 三瓶友治」のカードが。
急患の名前、「江本レナ様」も大きく印字されています。
第1話の、要するに「ゲスト患者だね」と思ったことを思い出します。
医療ドラマのパターン。
毎話、新たな患者が登場し、主人公やそのチームがそれを治療し、問題を解決していくのが、医療ドラマの王道パターンじゃないですか。
ああ、そういうドラマかー。
と思ったんです。初見ね。
だから、あの時、こんなにいつまでも、心を持って行かれるような作品になるなんて、ちっとも思っていなかったんですよ。
三瓶先生のせい。じとー。
続きは 7 へ。