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ナショナル SG-323N 復活の日

自称「ペンチって呼ばれてるんっすよ」のみどものもとに
ポッドキャストあらたまの相方から
「我が家にもこれと同じようなものがあったような気がする」
昭和を過ごした多くの人がそう思うであろう、ポータブルレコードプレーヤーの電源が入らないので直してほしいという依頼があった。

この機種は1970年代に発売されたものらしく、かれこれ半世紀前のものなんだなと往時を偲んでしまう。いわゆる昭和レトロ真っ只中のような佇まいだ。

背面には電源ケーブルの収納スペース、型番と50Hzのシール


余談だけど背面には50Hzと書かれたシールが貼られている。地域的に交流50Hz地域仕様限定モデルだ。昔の家電製品には交流の周波数別の製品ってかなりあったような記憶がある。蛍光灯とか電子レンジとか。

とりあえず外装を外そうと取っ掛かりをさがすものの表面に見えるビスなどは無い。こ、これは最近のアップル製品の先駆けではないか!
となると修理の難しさは数段上がるではないかと危惧する。が、そこはそんなはずもなくターンテーブルを外せば、二本のビス穴が見える。ビス止めされているのはそこの箇所だけ。本体のカバー(上蓋)をつけて裏返し、背面のカバーを外す。

ターンテーブルを外すと現れる機構とビス穴


内部

開けた瞬間に違和感が(上の写真、左手前の黒い部分)
絶対ここが怪しい。というかここ以外ありえないではないかと思わせるほどわかりやすい外れ方をしている。
このプレーヤーを預かった当初、本体を動かすと中からカラ、カラとなにかが内部で転がっている音がしていたのでそれを見つければ、それが原因だろうと推測していたが、それを見つけるまでもなく故障箇所のアピールが半端ない。
自称「ペンチって呼ばれてるんっすよ」はほっと胸を撫で下ろす。

スイッチ組み込みボリューム部分

この機種は回転式ボリュームスイッチを使っているのだけど、ボリュームとスイッチ機構が別部品で構成されてそれが合体している作りになっている。
その部品が上下にパコッと分割されていたのである。スイッチ横のモールドが割れている事から何らかの衝撃が加わった結果だろうと推測される。

鳥の頭のような金属が右下の丸い端子に接触することで通電する仕組み

スイッチ部分をひっくり返してみると構成していたであろう部品がなくなっている。カラカラと音を出していたものだなとケースをひっくり返すと小さなプラスチックの部品がこぼれ落ちてきた。が、それだけではスイッチが機能しない。二つを結びつける何かが。バネ状のものだろうな、ってことは金属部品、ってことは磁石にくっついている可能性が、ってことはスピーカーだなと、案の定小さなバネがしっかりと捕捉されているのを発見。

飛び出していた部品


何度かバネを飛ばしながら、なんとか組み込んでボリュームを回して稼働確認。カチッという音でスイッチが入り、通電!

飛び出していた部品を元の場所へと組み込み

ボリュームから出ている金属の爪をスイッチに掛け戻して再固定。
割れていたモールド部分を瞬間接着剤で再固定。

モールドも接着

ケースを戻して、ビスどめして、ターンテーブルを載せ、も一度チェック。
ボリュームを回すとカチッとバネの弾ける音と共にLEDが点灯、よし、ちゃんと通電してる。ターンテーブルもクルクル回転する。

件のスイッチ部分は稼働した

あとは音のチェックだな。とレコードをターンテーブルに載せてっと、なるところだけど、我が家にレコードが無い、否、レコードは有るのだけどこのターンテーブルに載せるレコードが見つからない。だって手元に残したレコードを傷つけたくないんだもん、傷ついてもいいようなレコードがあればよかったんだけど、ごめん、そこのチェックは持ち主に委ねることにしよう。
この機種にはマイクジャックが付いていて、そこを介して増幅された音がスピーカーから出るというチェックはして、アンプ部分も問題ない模様。
ということで、ひとまず修理は完了!

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