サミュエル・ベケット『モロイ(Molloy)』(from Trilogy)
文学界の極北、サミュエル・ベケット サミュエル・ベケット(1906-1989 愛)の文才が極致に達したのは、『モロイ(Molloy)』『マロウンは死ぬ(Malone Dies)』『名づけえぬもの(The Unnamable)』の三部作が盤石ゆえで、後世もその見方に異論は少ない――ただし、ベケット自身はこの三作をまったく別の作品と見做しており「Trilogy」(三部作)とは考えていなかったようだ――一方で、この三作が根底を共有しており、作品ごとにそのテーマを広げていったことも否