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メンタルの文化祭
親がメンタルの病院に勤めていたので、
小さな頃から、
放課後や休みの日を病院内で過ごす事があり、
病院イベントには基本参加していました。
病院の近所のラーメン屋さんで、
"ツケで"食べられるのが嬉しすぎて、
せっせと通い、昼夜2食もざらのロングステイでした。
入院している方達は、
普通とはちょっと違うらしい人達、
らしいけど、子供には違いが分からず、
近づいてはいけない一部の人だけ伝えられて、
あとはただ、大人と子供として、
接していました。
なにしろ居る時間が長いので、
向こうも慣れてくださって。
親は「人間皆病人」とよく言っていたし、
なにかの程度の差が人それぞれにちょっとずつ違う、
みたいな感じの捉え方しかできていませんで、
でも実際そんなものだ思います。
親には「それ、子供療法だー」(ペット療法みたいなの)
という、雑な使い方を時々されていました。
なお、自分が反抗期の頃は、
なんとかひとかけらも病まない事で親を否定しよう!と肩に力が入り、
かえって迷走してました。
病院には、
運動会やら、遠足やら、ダンス大会やら
いろんなイベントがありましたが、
一番好きなのは文化祭でした。
皆さんが作った、
すごく精巧な紙細工の家や、
カラフルな絵を見るのも好きだったし、
七宝焼や革細工など、
普段できない工芸を教えてもらえ、作品が作れるのがとても楽しくて、
みんなでニコニコしていた思い出ばかりです。
今考えると作業療法というものかと思いますが、
ものすごく見事な作品を作る方ばかりで、
スゴイ、スゴイと、
口下手・小声ながらも一生懸命伝えると、
そこはやっぱりちょっとリアクションが不思議だったりもして、
それも雰囲気の一部としてなんか楽しかったです。
バザーも嬉しかったし、
出店の食べ物も丁寧に作ってくれて、ワクワク待てました。
メインイベントは音楽で、
なにかの闘病をしているミュージシャンがいろいろ来てくれて、
みんなで一生懸命拍手している空間が好きでした。
40年絡みの昔の話なので、
今の感性とは違うことも多分たくさんあると思います。
そして、
人ごとの違いをどう捉えるべきか、など、
多くの人より少し早く、悩んでしまう機会を与えられたものだ、とも確かに思います。
でも、あの空間は、
なにも間違ってなかったし、
誰も間違ってなかった、
と、私は言い切れます。
人間はただ、生産の為だけに生きているのではない。
それを早く知れて、良かったと思います。