奥泉光先生の文章
ようやっと、
どうやら自分は小さい頃、
SFとテクノポップが好きだったんだろう、と認識できてきました。
確かに小学生の時、眉村卓先生とかよく読んでた。
時空の旅人の映画も観に行った。
しかし、読書の嗜好として、小説家をひとりしか挙げられないとしたら
断然、奥泉光先生です。
SFチックなストーリーが多いですが、私は文学だと思っています。
舞台背景はSFでも、失礼ながらガチの世界観の重厚さを楽しむのではなく、
とにかく文章の完璧さの力技で、物語の流れにのせアレアレーと最後まで持っていかれる、
あの感じが大好き。
物語としては、人間の執着心を描く事において右に出る者はそうそういない、と思っています。
死神の将譜もすごかった。
うーん、やっぱり文学。
どんなに分厚い本でも文章が隅々まで行き届いているので、厚ければ厚いほど、字が細かいほど満足。
軽い系の准教授シリーズですら、一行も文に違和感を感じたことがないので、この作家に付いていく編集者は大変だと思いますが、
もし私が編集者なら、他の作家に満足できなくなりそうな気がします。
出だしはどこに話が着地するか分からないので読み進むのに少し苦戦しますが、読者に櫂(オール)を渡さない矜持に惚れ惚れします。
たまに「え、そんな終わり方?」となっても、もう一回読むと、味わい深いのがさすがです。
奥泉先生の著作は、最初のほう話を追うのがやっかいな分、
「好きじゃなきゃこんな全部読んでないよね、私」
と、
己の嗜好を認識できないまま生きてきた私でも、さすがに理解できるので、
早い段階から
「ぐうの音も出ないくらい好きだ!」と認識できています。
なんでも「多分」をつけてしまう私が、ここまではっきりと言い切れる。
ありがたい、貴重な存在です。
このままファンレターにして送ったとして、
言い足りなさはあれども、後悔は無いし、意外と恥ずかしさもないかも、
と思える事に驚きます。
「ミーハー」を恥じ、時々の役割に邁進すべく、大概の "自分は好き" に目を背け続けてきた、
古風に過ぎる心を抱えてきた自分にとって、昔から異質な存在です。
しかし、書くペース早すぎかな。
徐々に落とします
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