ふたりのイーダ
やっぱり今日はこの本かと。
ものすごく小さい時読んで、今手元に無いので若干うろ覚えです。
でも色んな年齢で再会して、
どの時も、やっぱり大事に思えました。
多分50年以上前の作品ですが色褪せません。
この本に出会った時の、
隠れていた庭にきれいな水が流れていて、その水に花びらを浮かべおままごとをする女の子と、
コトコトと歩く小さい椅子、という、
西洋文学のような光景の魅力に、幼い頃の私はとても心惹かれました。
原爆の本ではありますが、
全ての赤ちゃんを喜ばせる「いないいないばあ」の松谷みよこ先生は、
やっぱり最後のページまで優しさと美しさいっぱいに読者を包んでくれるので、
何一つ怖がらずに読んでほしいです。
実は怖がりの大人も、怖がらず、
純粋に悲しめ、愛しく思える、
すごい本だと思います。
本当に人や子供を愛している人だからこそ描ける、
悲しみと、悼みは深く深くそこにあり、
確かに辛い気持には引き込まれます。
でも、純度の高い悲しみって今の世の中とても貴重で、
世界を変える力のあるものではないでしょうか。
そして、やはりちゃんと前を向かせてくれる光があって、
押し付けがましさが一切無い、
本物の、宝物のような児童文学です。
緑溢れる庭にキラキラと流れる水。
それが広島に捧げるオマージュと、気がつくまでの間に長い年月がかかりました。
そんなさり気なさで、
他県で育った私に広島を教えてくれた
「ふたりのイーダ」が、
永遠に読みつがれてほしく、
ここに祈りを残します。