「打たれ強いんじゃない、我慢強いんだ」 と、魔獣が言った
子供がアニメや特撮に興味を持ちだした幼児期、
私たち親はカルチャーショックを受けつつ、
わりと子供をダシに楽しんでいました。
表題の言葉は、戦隊物「キョウリュウジャー」の敵の発言で、
「そうなんだ!?
いや、そうだよな! わかる!
本当は痛いんだよね」
と、昭和生まれ達の心を鷲掴みにし、
その後、我が家でなにかと使われてきました。
状況としては、
仕事熱心な魔獣が上司の命で釣りをしている所に戦隊がやって来て、
魔獣本人「誰に危害を及ぼしてもないぜよ」と、土佐弁で抗弁するものの、
怪しい、と戦隊から攻撃される。
が、構わず釣りを続けるので
戦隊が「あいつ、異常に打たれ強い!」
と、驚くのに対し、
実は我慢してただけ、というオチでした。
戦隊は、じゃあ、と猛攻し(ひどい)、
でも耐え続けて任務を全うし、
その後も、自分の役目は終わったのに
敵幹部の人事っぽいのに自ら頼んで、戦隊にやられに行くなど、
社畜感に満ち溢れつつ、堂々とした
その魔獣にうちの家族は心を掴まれました。
「母さんは強いから」と、
なにかと押し付けようとする人が、
自分も実は我慢してるアピールに使おうとするのはどうか?と思いつつも、
私も、
自分がついつい我慢強い事になってないか、
この人なら大丈夫という思い込みで
無理をおしつけていないか、
そういうことを戒めるのにちょうど良くて、誰にでも分かりやすい、
良いセリフだなあ、
と、思ってきました。
言わないと人のしんどさは分からないという事実も、
言ったとしても「だからどうした」、
とされたりもする社会の厳しさも、
部下が熱心すぎるとちょっと引く幹部も、
とにかく解像度が高く、面白かったので、家では忘れ去られないです。
改めて考えると、
戦隊物など特撮には、
敵幹部にグッとくるような上司がいたり、
週替りの雑魚敵にも予想外にいい仕事をする奴がいたりと、
組織論として楽しく学べる面があったと思います。
子供たちは駄目なタイプの組織と、
上司のカリスマをしっかり学び、
大人は共感しつつわが身を振り返るという、
製作者の心意気と私怨を感じる、
踏み込み具合は今でも健在でしょうか。
さすがに今は見ていないのですが、
年々厳しくなるコンプライアンスをどう躱しているか心配になります。
キョウリュウレッドさんやら、グリーンさんやらの活躍のおかげもありますが、
大人も分かる面白さがあったからこそ、
昔の特撮でも色褪せずにいつまでも、
親子の話題とできてるのは本当にありがたいので、
どうかあまり日和らず制作してほしいな、
と思います。