身土不二(しんどふじ)と風土病
もともとの意味は自分たちの行動範囲に生育する野菜とそこに住む人間は切っても切れない関係にあり、人間が生育するのに必要なエネルギー源はそこで栽培される食物と密接な関係があるという意味である。路地で栽培される植物は光合成でエネルギーを得てそれを人間が摂取する。動物は光合成が出来ないので植物からエネルギーを得て、それを人間が失敬する。人間が成長するのに必要な栄養素、特にミネラルの大部分は土壌から得ており、その理由としてミネラルの組成が両者でよく似ていることがあげられる。地産地消と考え方が似ている。
1980年当時中国東北部黒竜江省の克山地方の住民は(心臓突然死などの)心臓病で悩んでおり、風土病と思われた。当時のハルピン医科大学学長宇維漢先生のグループはこの病気の撲滅に努め、その土地の土壌中に微量ミネラルのセレン不足が原因であることを突き止め、克山病の撲滅に貢献した有名な実話がある。日本にも来られたことがあり、ハルピンでも晩年の先生を見舞ったことがある。先生から色紙を頂いたことがあり、「返撲帰真」(ハンプークイシン)は原点回帰に似た意味であり、家訓にしている。