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訪問着から羽織へ/仕立て直し例⑦

こんにちは
日本の着物仕立て処 ❋ 菊瓢 です
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「 和裁は我が国必須の英知の結晶。」
私は古より連綿と受け継がれてきた美しい着物を形にする技術【和裁】を慣用にする活動に力を入れています。
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🍀今回は【訪問着から羽織】の仕立て替えについてご紹介いたします。


◯ご依頼内容

ご依頼当初に相談があったのは、訪問着の前柄についてでした。

——実は柄に違和感があって一度も袖を通してないの……

着用したい気持ちはあるのに着られない。見ると帯下幅中心部に存在感のある短冊模様が二つ並んでいる。袖以外の上半身へは柄の無いシンプルさ故に、アンバランスな取り合わせになってしまっていました。

見積もってみると縫い代も余っていなかったので、相談の末羽織へと仕立て替えることとなりました。


◯仕立ての様子

柄の配置は幾つかパターンを見てお客様にも好みを伺いながら決定していきます。

今回の様に絵羽模様から羽織に仕立て替える場合は、ハサミを入れて試すわけにはいかないので出来る限り完成図が想像できるようご説明いたします。

裁断

羽織となるとハサミの入れ具合は全く異なる上、身体に沿う仕立ては寸法以外にも配慮か必要なため見積りには細心の注意がはらわれます。

袖の縫製

肩裏は私の手持ちの中からお選びいただきました。

羽織は特に裏地にこだわるとお洒落ですね。


◯完成

柄を優先したため身丈はこれ以上は不可能でしたが、丁度良い長羽織となりました。

シンプルな柄なので簡単そうに見えますが、全く違いますσ(^_^;)
分単位で微調整してようやっとバランスが取れる柄配置なのでした。


◯羽織紐の仕立て

柄入りの羽織紐

まだ和裁学生だった頃は依頼の少なかった羽織紐の仕立て。教わった形とは異なりますが、独立してからは自分好みへと変貌させご提供させていただいております(ご希望もお聞きしています◎)

この羽織のためだけの唯一無二のお紐なのでこれぞ羽織誂えの極み!!と言った感動が味わえるのではないかと思います。

どれにしようかな〜
気分によって変えてみて♡

いつも2対は仕立てているので、楽しみ方が増え気分が上がること間違いなしです(*^^*)

お紐の取り付けは案外ストレスなので、予め取り付けてからお納めしています。


◯ご着装

早速のご着装を有難う御座います。
お気に召されたようで嬉しく思います。

落款は衿裏へ隠してあります

一度もお袖を通さずに眠っていた着物が仕立て替え後すぐに着用できるようになる。
このことだけでも仕立て替えの魅力とその威力を感じます。

仕立て屋にとっては日常茶飯事の「仕立て替え」ですがお客様の目線を考えると、完成の想像も付き難くくハードルの高い選択肢ですが、細々ながら私のnoteへ事例を紹介することによってイメージを膨らませ、箪笥の肥やしから救出できればと願っています。

仕立て直し事例はこちらにまとめています↑———————————————
日本の着物仕立て処❋ 菊瓢では和服に関する様々なご相談を承っております。ご試着も可能ですのでお気軽にメッセージをお寄せくださいませ
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◯フォトギャラリー

衿折り
前柄合わせ
蘇芳の美しい地色でした
衿は厚く両柄ポイントだったので大変でした

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菊瓢  kikuhisago
ものぐさ和裁師は着物と和裁の振興に貢献したいと考えています。美しい着物を未来に残していくためにサポートをどうぞよろしくお願いいたします。