コートから羽織へ/仕立て直し例③
こんにちは、ものぐさ和裁師です^^
🍀今回はコートから羽織に仕立て直しを行った例を取り上げています。
◯お客様からのご依頼
——祖母の大切にしていた着物を着られるようにしたい
そう仰ってご用意してくださったのは、一枚の総絞りコートでした。
お婆様のために仕立てられたコートをそのまま羽織ってみると、どうしてもお客様の身体には馴染まない。
——大切に遺してくれたものだから着て出掛けたいのだけど何かがおかしくて着られない。どうにか出来ないかしら?
お客様から伝わる「着用したい!」という想いを受け取って仕立て直しに着手いたしました。
お客様から希望のあった羽織へと仕立て替えます。
◯必要物をそろえる
今の状態をそのまま仕立て直すわけにはいかない。
スラッと高身長のお客様とはあまりにも違う寸法で仕立てられていたので、現状のパーツだけでは理想の寸法が不可能なのです。
有難いことに「全てお任せに」とご依頼いただきましたので、がお客様から受け取ったイメージで裏地を用意することに。
表の疋田絞りも豪華ですが、絞りだけでは羽織としてのアクセントに欠ける。
猩々緋に鶴の襦袢を解いて羽織裏にする事を選択いたしました。快諾してくださったお客様に感謝です♡
また、絞りのために幅も狭く希望寸法に満たない事が分かっていたために、表地の足し布として絞りを追加することに。
お婆様の絞りは疋田が緑に染められているために全く同じ布は探せませんでしたが、似た色をチョイス出来ました。
色選びの際は頭で覚えているイメージと合わせる作業に喜びを感じます(*^^*)
◯仕立て直しに着手
⚫︎コートを解きます
あちらこちらにツギハギが施され、非常に大切にされていた事が伺える、つい感極まるご依頼でした。
このツギハギの様子から伺うと、羽織にするのは難しいのでは?と感じられて当然ですが、我が国の和裁に凡その場合不可能な事はありません⭕️
⚫︎縫製を行う
まずは解いた状態から裄の足し布の状態をお客様へご確認いただきます。
写真では色味のせいで強調されている様にも見えますが、実際には目立たない足し布となっています。
羽織の襠部分にも柄合わせがあるため細かなツギハギがあります。こちらも強調されてはいません⭕️
そして衿も同様に2箇所にハギ目があります。
◯完成図とお客様の声
とっても素敵な羽織が完成しました。
仕立てビフォー・アフターの様子がこちらです。
袖や見頃の丈感が変わり、全体のシルエットが大きく変化していることが分かります。
🍀ご感想をいただきました
——綺麗に丁寧に縫ってくださって、おばあちゃんの道中着もこんなに見事に生まれ変わって「ツギハギだらけ」とも言えるこの羽織がすでに愛着のある宝物になりました。肩裏の朱赤も本当にカッコいい!ものぐささんに依頼して本当に良かったです。仕立て直しが出来て良かった!お婆ちゃんもきっと喜んでいます大切にします。
お客様から嬉しい言葉をいただけて、胸がいっぱいなものぐさですが、慢心しないでこれからも良い仕立てを行える様に腕を磨いていこうと思います。
以上、ものぐさ和裁師でした🪡