アーユルヴェーダの領域②病気の治療
こんにちは!
鍼灸マッサージ師・アーユルヴェーダセラピスト&ライフカウンセラーのくぼいりつこです。
前回はアーユルヴェーダの領域のひとつである「健康な人の健康を守る方法」、すなわちアーユルヴェーダ式健康法についての内容でした。
アーユルヴェーダ式健康法は、①一日の過ごし方(ディナチャルヤ)、②季節の過ごし方(リトゥチャルヤ)、③道徳的な過ごし方(ダルマチャルヤ)、④神様みたいな過ごし方(ブラフマチャルヤ)、⑤若返り法(ラサーヤナ)の5つあります。
そして、なかでも重要なのはディナチャルヤの食事、運動、マッサージ、瞑想を一日のなかに取り入れるライフスタイルである、というお話をしました。
さて、今回はアーユルヴェーダの領域の2つめである「病気の治療」についてご紹介したいと思います!
(2)病気の治療
※(1)は前回の記事にあります。
アーユルヴェーダの病気の治療は8部門あり、アシュタンガ・アーユルヴェーダといわれます。
8部門は以下の通りです。
① 内科学
② 小児科学
③ スピリチュアル・霊的な治療
④ 耳鼻科学
⑤ 外科科学
⑥ 毒物学
⑦ 若返り法
⑧ 強壮学
アーユルヴェーダは5,000年以上前から行われている医学ですが、盛んに行われていたのは3,500年前といわれています。
当時の教科書である古典には、外科手術に使われた道具などの絵が描いてあります。
そんなに昔から手術が行われていること、また病気の治療が8部門に分かれて体系的にまとめられていることにはじめはとても驚きました。
ではそれぞれを簡単にご紹介していきます!
① 内科学
内科は身体の全般的な病気の治療法で、体の中の消化の火(消化力)を治療します。
そのほか熱や出血、けいれん、皮膚疾患、現代でいう糖尿病、精神病気などが内科学に入ります。
まずはかかりつけ医や、なんでも相談できるお医者さんに相談するイメージかな?と思いました。
② 小児科学
小児科と聞くと、イメージするのは「子どもの病気の治療」ですが、アーユルヴェーダの小児科学の目的は「生まれてくる子供のため」です。
そのため、お母さんの健康から見ていきます。健康なお母さんから元気な子供が生まれてくると考えます。
ですので小児科学のなかに婦人科や産婦人科も含まれており、不妊治療もこれに含まれます。
ちなみに、アーユルヴェーダで子供として扱うのは16歳までです。
③ スピリチュアル・霊的な治療
これは、一般内科では原因がわからなかったり、論理的な治療ができなかった精神病気に対する治療です。
マントラ(お経みたいなもの)を唱えたり、マントラが書かれているマンダラを身に着けたり、悪魔祓いをしたり、占星術を使ったり、宝石を使った治療などを行っていきます。
ちょっとわかりづらいかもしれませんが、不安な時に神様にお願いして心を落ち着かせたり、お寺に行くだけでなんだかホッとするといった経験をしたことはありませんか?
また、日本で昔から行われている獅子舞は豊作を祈ること、悪魔祓いの意味があります。
ほかにも秋田県の男鹿の伝統行事である「なまはげ」も家族の無病息災や家内安全を願って行われるものでもあります。
このように目に見えない霊的な事柄は意外と身近にあるのかもしれませんね。
④ 耳鼻科学
耳鼻科学は首から上の部分を治療する部門です。
たとえば口腔衛生を含む歯科、頭痛、眼窩、副鼻腔炎などが当てはまります。
先ほど3,500年前に書かれた古典には手術で使った道具が描かれていた、というお話をしましたが、耳鼻科では、副鼻腔に溜まっている膿をシャーラーカという箸みたいな道具を使って排出し、頭痛の治療をする方法なども書かれています。
⑤ 外科学
外科学は、切る・取る・取り除くことで治療する部門です。
骨折の治療も外科学で行います。
その他、肛門にできた痔瘻を、薬を付けた糸で取り除くといった治療も行います。
⑥ 毒物学
毒物学のもとになったのは、動物に刺される、噛まれるといった内容です。
動物に刺されたり、噛まれたりして体の中に入った毒を取り除くというイメージかなと思います。
⑦ 若返り法(ラサーヤナ)
前回の記事でラサーヤナの概要をお話ししていますので、気になる方は読んでみてください。
若返り法で得られる結果は、長生き、記憶力や免疫力を高めること、病気の予防です。
アーユルヴェーダ式健康法では、体質別の食生活や早寝早起き、運動などが若返りにつながってきます。
今回のテーマは「病気の治療」ですので、若返りの薬についてお話ししたいと思います。
若返りの薬として使われる3つのハーブ
薬の中身は3つのハーブです。
アーユルヴェーダの薬は90%がハーブ(薬草)です。アーユルヴェーダで使用されるハーブは約2,500種類(!)ありますが、多くのハーブが若返り効果を持っています。
なかでも若返りの薬として使われる3つのハーブは強い若返り作用があります。
その3つのハーブとは、
・アマラキ
・ハリタキ
・ビビタキ
です。
これらはビタミンCやポリフェノール類など、抗酸化作用をもつ成分を豊富に含んでいます。
若返り若返りっていうけど若返りってそもそもなんぞや?という場合は、若返りの作用=抗酸化作用と思っていただくとイメージしやすいかもしれません。
また、整腸作用もあり、便秘解消といった効果もあります。
これら3つを合わせて「トリパラー」と呼びます。
薬の場合は、1:1:1の割合で混ぜますが、日々のサプリメントのように使う場合は、ハリタキ―1:ヴィビータキー2:アマラキー4の割合で混ぜます。
この配合のものは若返りに特化しているので「トリパラ ラサーヤナ」といわれます。
ハリタキ―とヴィタキーは下痢をさせる作用が強いので、すべて同じ割合で混ぜてしまうと、下痢をする恐れがあります。
ドクターのもとで使う薬であればいいのですが、サプリとしては効果が強すぎるということですね。
分量は混ぜた粉末をティースプーン半分くらい、ギーとはちみつと混ぜて食べます。
またはティースプーン半分~1杯くらいを水に入れて一晩おき、翌朝それを濾して飲む方法もあります。
どちらも朝食前に摂るとより高い効果が得られます。
ただ、これらの粉末は日本では手に入りにくいのと、タブレット状になってパッケージされているものが購入できる場合があるのですが、1:1:1の割合で配合されている可能性もあるので注意する必要があります。
トリパラーを体に取り入れるほかの方法はオイルマッサージがあります。
トリパラーを煎じたハーバルオイルでマッサージを行っていきます。デトックス効果を期待して全身に使ったり、ヘッドマッサージに使います。
気になる方は一度オイルマッサージを受けてみるのもいいかもしれません。
私も出張施術を行っているので、気になる方はページ最下部の「クリエイターへのお問い合わせ」からご相談くださいませ!(申し訳ありませんが女性限定とさせていただきます)
若返り法(ラサーヤナ)については、アーユルヴェーダとは切っても切れない関係なので、いまはこのあたりにしておくとします。
残すはあとひとつです。
⑧ 強壮学
最後は強壮学です。
強壮学とは、男性も女性も子供ができるようにホルモンを保つための部門です。
ただ女性の不妊症は②小児科学に含まれるので、どちらかというと男性のための治療を行う部門になります。
以上、アーユルヴェーダの「病気の治療の8部門」のお話しでした。
私が病気の治療の8部門に関していちばん素敵だなと思ったのは、小児科学は「お母さんの健康から始める」ということです。
鍼灸マッサージ師として女性の不妊治療の分野に身を置いていたことがあるのですが、その時に思っていたのは、「妊娠」がゴールなのではなくて、ゴールは「元気に子供を産み、元気に子供を育てること」だと思っていたので、この小児科学の在り方にはとっても共感したのです。
次回は「アーユルヴェーダの目的」についてお話しします。
生命について教えてくれ、さらに健康で長生きできる方法を教えてくれるアーユルヴェーダですが、一体なんのためにやるの?なんで健康である必要があるの??という根本的なお話しになるかと思います。
次回もお楽しみに~!
ここまで読んでくださりありがとうございました。