【アルツハイマー型オカンと「笑って暮らすぞ!」】その3 オカン、初めての一人ぐらしでメニエール病に
本日は認知症を発症する、ずいぶん前のお話です。
オカンはひとり暮らしをしたことがありませんでした。
けれど74歳になったオカンは、
ひとり暮らしを始めることに。
(この時はサービス付き高齢者住宅ではなく、普通の賃貸住宅でした)
結果的にこのひとり暮らしが
メニエール病を引き起こすきっかけとなってしまいました。
メニエール病になったことで
もともと不安神経症のような性格をもつオカンは、
さらに毎日ひとりでいることが不安になり、
このあと何度もメニエール病由来のめまい発作を発症します。
これが徐々に認知症の芽を育てていくことになったのでは?
と、筆者がらやんは、今になって思うのですが、
この頃はまだ認知症のことを理解しておらず、
しょっちゅうオカンに怒ってばかりいました。
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ひとり暮らしを始めて5~6年たった頃、
オカンは隣家の文句を言い始めました。
「隣の家が一日中大きな音で音楽を鳴らしている!」
賃貸とはいえ、一軒家を借りており、
隣家とは1mぐらいの間隔があいていたので、
窓を閉めても聞こえるほどの音楽を鳴らしているなら
相当な音量のはず。
今、音楽が鳴っている!と深夜に電話があって、
がらやんがオカンの家の前まで確認しに行っても、
いつも何の音もしていませんでした。
「何にも音楽なんか鳴らしてないやん!オカンの気のせいや!」
と、毎回オカンを突き放すような言葉を投げていたのですが、
気の強いオカンも、
「ホンマに鳴らしてる!鳴ってるときに居てないからわからんねん!」
と言い返してきて、ほぼケンカ状態。
*これが後に統合失調症だったんだろうなあ、という症状でした。
そんなやりとりが1年ほど続いたある日、
勤務中のがらやんにオカンから電話がかかってきました。
「気分悪くて立ち上がられへんから、
仕事終わったらすぐ来てくれる?」
わかったー、と電話をきり、
終業間際だったので、そのまま終業まで仕事をして、
オカンの家に向かいました。
電話の声はそんなに弱々しくなかったので、
軽く考えていたがらやん。
オカンの家に入り、愕然とします。
目に入ってきたのは、結構な量の吐しゃ物と大便。
ベッド横に置いてあった小さなプラスチックの引き出しを、
めまいの中で必死に取り出して中身を空にしたのでしょう。
その引き出しの中に吐しゃ物と大便が吐き出されていました。
そして這うようにベッドに戻って横になって、
がらやんを待っていたのだと思います。
真冬なのに、ズボンも下着も半分脱いだ状態でベッドに横たわっていました。
這ったと思われる床や、ベッド上の毛布にも汚物がついていて、
オカンが相当つらかったことが見て取れました。
あ、これはもう即病院や!と考えたがらやん。
起き上がれないくせに、「大丈夫やから!」と主張するオカンを無視して、
救急車を呼び、そのまま数日緊急入院。
めまいが治まるまで4〜5日間、入院することになりました。
入院中、点滴でめまいが治まって、
調子が良くなってきたオカンは、
「おかしいなあ、この病院でも隣の家が鳴らしてた音楽が鳴ってるわ・・
やっぱり気のせいやってんな・・耳がおかしいんかな・・」
と初めて幻聴だったことを自覚し始めました。
退院後も幻聴がきこえていたようですが、
隣家が鳴らしている、とは言わなくなりました。
その後、何度もメニエール病からくるめまい発作を繰り返すようになり、
ひとりで外に出るのが怖くなってしまいます。
そこでオカンの古くからの友人に、
アルバイトで昼間だけオカンと共に過ごしてもらうことにしました。
しかし、オカンの性格の問題から、
オカンの友人は、もう無理です、と
わずか1年たらずでオカンから離れていってしまいました。
困ったがらやん。
しばらくして、また何度目かのめまい発作が起き、
朝から救急車でオカンを搬送してもらい、
がらやんが自分の車で病院へ向かおうとしていたときのこと。
焦りすぎたがらやんは、一旦停止のところを、
ゆるくブレーキをかけただけで、通り過ぎようとして、
右側から直進してきた原付とぶつかってしまいました。
このときにぶつかった、Kさんという方。
事故の夜、原付の修理費用をもって、Kさんのお宅を訪問し、
しっかり謝罪して、その後のオカンのことなどを伝えると、
「そんなんやったらケアマネージャーを紹介してあげる!
お母さん、たぶん介護認定でるで!大丈夫や!」
とトントン拍子にいろんなことを手配してもらえました。
介護保険を利用してヘルパーさんに来てもらえるなんて、
無理にきまっている、とおもっていたがらやんでしたが、
わずか数週間でオカンの介護認定も確定し、
ヘルパーさんにも週1回ですが来てもらえることが決定しました。
Kさんと事故をきっかけに出会ったことで
こんなにも良いご縁に恵まれるとは。
オカンの強運が引き寄せたのか、
がらやんの日頃の行いがよかったのか。(ん?)
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どたばたした日々の中、認知症が始まっているとは露ほども思わず、
比較的安価に始められた介護保険の助けに、
がらやんはホッとして、これまでどおりの生活を続けました。
次回は、オカン初めての骨折について語ります。
この骨折も認知症をぐっとすすめてしまうことに。
次回、第4話、是非お楽しみに!