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自己超越性とセロトニン

自己超越性というのは、自分という感覚が、空間的にも時間的にも拡大した状態を指します。

一説によると、この自己超越性が高いほど、人は無条件的な利他性が高まり、社会の発展や世界の平和などに身を尽くすとも言われています。

また別の見解によると精神疾患などと共通の因子があるのではないかとも言われています。

ではこの自己超越性に関わる生物学的要素とはどのようなものなのでしょうか。

韓国で行われたある研究によると、自己超越性はセロトニンに関わる遺伝子に関連していたことが報告されています。

セロトニンは精神状態の調整に深く関わりますが、これは単にセロトニンが多ければ良いというわけではありません。

ホルモンの作用は以下の図に示すように様々な要因が関係してます。


今回のテーマとなっているセロトニンを例に考えれば、以下の4つの要素があります。

・セロトニンがどれだけ多く作られるか(セロトニンを作る酵素の数)
・セロトニンをどれだけおおくキャッチできるか(セロトニン受容体の数)
・キャッチしたセロトニンをどれだけ有効に使えるか(セロトニン受容体の質)
・セロトニンをどれだけ再取り込みするか(再取り込みが多いと結果としてシナプスのセロトニンは減ってしまう)

そしてこれらの要素に関係する遺伝子がそれぞれあり、その遺伝子のタイプによって、セロトニンの作られやすさや受容体の増えやすさなどが変わってきます。

この研究では、被験者のセロトニン代謝関連遺伝子と自己超越性の関係を調べているのですが、セロトニン受容体の数が増えやすく、またその質もたかくなる遺伝子を持っている人は、自己超越性が高くなる傾向があったことが示されました。

自己超越性が高い人物というと、ガンジーやマザーテレサを思い出すのですが、一つの研究結果で物を言うのは難しいものの、やはり何かしらセロトニンと関係があるのかな、と妄想しました。

【参考文献】
Ham BJ, Kim YH, Choi MJ, Cha JH, Choi YK, Lee MS. Serotonergic genes and personality traits in the Korean population. Neurosci Lett. 2004 Jan 2;354(1):2-5. doi: 10.1016/s0304-3940(03)00753-5. PMID: 14698468.

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