加齢性炎症に挑む:アンチエイジングの最先端
もともと体は丈夫ではないのだが、40歳を回った頃からちょっとしたことで体調を崩しやすくなった。こういった現象には加齢による慢性炎症が関係しているらしい。
炎症というと患部が赤くなったり腫れたりというだけではない。炎症反応は体全体のリアクションで、それゆえ体全体に大きな影響を与える。風邪をひくと元気がなくなったり、日焼けがすぎると調子が悪くなったり、あるいは対人関係のストレスでも炎症反応が高まり、調子が悪くなることが知られている。しかもこういった炎症反応は加齢によって高まるという。
今回取り上げる論文は、この加齢性炎症をどのようにして抑え込むかについての総説論文である。
この論文によると、加齢性炎症を抑える方法としては
・TLR-4の抑制
・メトホルミン
・メラトニン
・輸血療法
・腸内細菌叢の改善
・運動
があるという。
TLR-4は免疫反応にかかわる因子で、この働きが強すぎると炎症反応が活性化する。これをTLR-4の活性化を抑えるためには、食事制限、クルクミン(カレーのスパイス、クミン(ウコン)に含まれる成分)、レスベラトロールが有効とされている。
メトホルミンは糖尿病に使用される基本的な薬剤だが、加齢性炎症の抑制全般に有効であることが報告されている。
メラトニンはトリプトファンを原料として作られる睡眠ホルモンだが、抗炎症作用もあることがわかっている。
輸血療法は若い人の血液を輸血することで、体内臓器の幹細胞を若返らせることが動物実験で明らかになっている。
腸内細菌叢は、そのバランス(悪玉菌や善玉菌、日和見菌)で炎症性反応が異なってくることがわかっている。腸内細菌叢の改善には地中海食が有効である。
中等度以上の運動は、遺伝子を後天的に変化させ(エピジェネティックな変化を引き起こし)、体内の抗炎症性反応を高めることが報告されている。
こういったことを考えると、しっかり運動し、体に良いものを食べ、しっかり眠るのがアンチエイジングの基本なのかなとも思う。輸血療法はちょっと・・とも感じる。
Q: とはいえ輸血療法の実際も知りたい。
明日読む論文
A randomized, controlled clinical trial of plasma exchange with albumin replacement for Alzheimer's disease: Primary results of the AMBAR Study
アルツハイマー病に対するアルブミン置換による血漿交換のランダム化対照臨床試験: AMBAR 研究の主要結果