光とサーカディアンリズムと精神疾患
気分障害における概日リズム障害:視交叉上核の役割への洞察
Circadian rhythm disturbances in mood disorders: insights into the role of the suprachiasmatic nucleus
私達の体は体温を一定の範囲に保ったり、気分の状態を一定の範囲に保ったりする仕組みがあるけれど、こういった仕組みは生理学では恒常性と呼ばれている。
この恒常性を維持するためのいろんなホルモンが体の中を駆け回っているが、こういった恒常性にかかわるホルモンの制御にかかわる領域が脳の奥深くにある視床下部と呼ばれる場所になる。
この視床下部はいろんな神経核が組み合わさってできているのだけど、その中でも一日のリズム、朝に目が覚めて夜になると眠くなるようなリズムを整えることに関わっている領域に視交叉上核と言われる場所がある。
今回取り上げる論文は、この視交叉上核と気分障害の関連についての総説論文。
書かれてあることは非常に多岐にわたりとてもまとめきれないと感じるのだけど、大事そうなところをピックアップすると以下の通り。
・視交叉上核はサーカディアンリズムに関わるだけでなく、セロトニン系やドーパミン系と密接に関連している。
・そのため視交叉上核の働きに問題があると気分障害が生じることがある。
・視交叉上核の働きに影響を与えるのは網膜を通して入ってくる光刺激や精神的・物理的ストレスである。
・そのため時差ボケや冬季の日照量低下、夜間照明、交代勤務などは視交叉上核の働きを乱し、気分障害を引き起こすことがある。
・また躁うつ病では先天的に視交叉上核の働きに問題があり、サーカディアンリズムも通常と大分異なる。リチウムやバルプロ酸はサーカディアンリズムを整えることで躁うつ病の症状を緩和させる。
・また精神的・物理的ストレスも視交叉上核に影響を与えることで気分障害を引き起こす。
夜間、スマホを見たり照明つけっぱなしで寝るのは良くないのかなと思いました。
Q: 夜間のスマホって本当にメンタルに響くんだろうか?
明日目を通す論文:
青色光遮断のための琥珀色のレンズを使用した双極性障害の暗黒療法
Dark therapy for bipolar disorder using amber lenses for blue light blockade
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0306987707003726