慢性的なストレスで体質が変わると線維筋痛症が悪化する
ホメオスタシス(恒常性)という言葉を知っている人は多いと思うが、あまり聞き慣れない言葉にアロスタシスというものがある。ホメオスタシスは体を常に一定の状態に保つような仕組みだが、アロスタシスというのは基本設定そのものを変えてしまうような変化である。
例えば、職場で常に緊張状態を強いられていると、体はそれに順応しようとして、緊張状態をベースラインとしてしまう。すなわち血圧もテンションも高い状態に基準変更されてしまうような現象、これがアロスタシスである。酸素が薄い高地トレーニングで体質を変えるようなものの方が例としては分かりやすいかもしれない。
今回取り上げる論文は、このアロスタシスと線維筋痛症の関係について調べたもの。
この研究では、43名の線維筋痛症患者と60名の健常者を対象にアロスタシスによる体質変化と線維筋痛症症状の関係について調査している。
アロスタシスによる体質変化はアロスタシス負荷と定義され、いくつかの生理学的指標(交感神経活動、HPA軸活性、炎症反応など)をもとにして計算された。
結果としてアロスタシスによる体質変化が大きいほど、線維筋痛症の症状が悪化することが示されている。
私自身のことを考えると、ずいぶん長い間、一日一食生活を続けていて、慢性的に疲れやすい状態になったのは、このアロスタティック負荷のせいではないかとも思う。空腹感は交感神経を刺激して元気にはしてくれるが、この状態が延々と続くことで、アロスタシスが起こり、線維筋痛症の類縁疾患である慢性疲労症候群(っぽい)状態になったのではないだろうか。なんにしても、無理はいけない。
Q: アロスタティック負荷と他の疾患の関係についても知りたい。
明日読む論文:
アロスタティック負荷とその健康への影響: 系統的レビュー
Allostatic load and its impact on health: a systematic review
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