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道徳的離脱とは何か?

人間、正直に生きられればいいですが、時には不道徳になってしまうこともあります。このような時には不道徳な行いを自分に許すように考え方を変えることがあるのですが、これは道徳的離脱と呼ばれます。

今回取り上げる論文は、この道徳的離脱が起こるメカニズムについて論じたものになります。

Moral disengagement
道徳的離脱

この論文によると、道徳的離脱が起こるメカニズムとして以下の例を上げている。サムがスターバックスでお金を払わず、新聞を取った場合

新聞を取ることは大したことではないと解釈したり(結果の歪曲)、

誰でも時々新聞のような小さなものを取るものだと考えたり(責任の拡散)、

新聞を取ることは他の人の違反に比べれば小さなことだと考えたり(有利な比較)、

スターバックスの従業員が新聞を取るのを見てきたのだから自分も取るべきだと考えたり(責任の変位)

情報通の市民であることは新聞代を払うよりも重要だと考えることもできる(道徳的正当化)。

新聞を読み終えたらカフェに置いていくつもりで、本当は「借りた」だけだと考えることもできる(婉曲的なレッテル貼り)。

スターバックスは無情な大企業で、紙がなくなっていることに気づかない(非人間化)

コーヒー代が高いので紙を取られても当然だ(責任帰属)と考えることもできる。


このような心理的枠組みを使って、しばしば道徳的離脱が起こるが、その発生要因としては気質的なものと、文脈依存的なものがあるということも論じられている。

Q:  戦争における道徳的離脱について知りたい。

明日読む論文:
グロテスクで暗い美しさ:道徳的アイデンティティと道徳的離脱のメカニズムが戦争に対する認知的および感情的反応にどのように影響するか
A grotesque and dark beauty: How moral identity and mechanisms of moral disengagement influence cognitive and emotional reactions to war

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