統合失調症はなぜ人間だけに見られるのか?
統合失調症の進化論: 皮質結合性、メタ表現、社会的脳
An evolutionary theory of schizophrenia: Cortical connectivity, metarepresentation, and the social brain
人間とはなにか、ということを追っかけて色々読んでいるとしばしば統合失調症を対象とした研究に当たることが多い。
しかしながらうつ病や不安障害と違って、実験的にネズミやサルを統合失調症にしました、というような研究も見たことがない。
ということは、統合失調症はおそらく人間特有の疾患なのだろうか、ということでこの論文を読んでみた。
この論文は、進化的にどのような軌跡を辿って、何が原因で統合失調症が生じるのか、ということを莫大な関連研究を辿って示している。
ポイントをピックアップすると
・人間は進化の過程で他者の心を推測する能力を身につけた。
・これは社会脳と呼ばれるもので、前頭葉と頭頂葉、あるいは前頭葉と側頭葉を結ぶ神経ネットワークの発達によって獲得されるものである。
・しかし、この高機能なネットワークは、その分脆弱性も抱えており、高機能さとのトレードオフ(引き換え)で統合失調症が生じうる。
・また人間の脳は成長とともに発達していくが、この発達の軌跡をコントロールする遺伝子がある。
・この発達の軌跡をコントロールする遺伝子に不具合があると、前頭葉と頭頂葉、もしくは前頭葉と側頭葉との間のネットワークに不具合が生じ、それが社会脳の障害として現れたものが統合失調症なのではないか。
ということになる。
Q:この論文で言及されていた異時性(ヘテロクロニー)が興味深い。これは発達のタイミングが定型的なものからずれること(幼い状態で発達を終えるネオテニーとか)だが、これについてよく知りたい。
明日目を通す論文:
ヘテロクロニー: 発達の進化
Heterochrony: the Evolution of Development
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