一連の記事では、民主化プロセスを「体制移行(transition)」と「定着(consolidation)」に分類する議論に着目する。 1、「体制」とは 「体制移行」という現象を捉えるために、「体制」とは何かについて確認する。 Mainwaring, O’Donnell, and Valenzuelaは述べたように、「体制(Political regime) 」は、政治システム或いはアクターとは明確に区別が必要である。 例えば、前者の政治システムについて日本で言えば、
19世紀初頭から20世紀中盤にかけて、欧米各国が近代国家建設を進めた際の政治モデルを「古典版」民主主義と呼ぶ。「古典版」民主主義は、民主政治に対する基準が緩く、質が低いことは特徴的である。 第一に、「古典版」で近代化を図る際、欧米各国は今日ほどの自由と権利の水準を確保できていなかった。例えば、労働に関して言えば、組合結成権或いはストライキ権等は認められておらず、人権水準は必ずしも高くなかった。加えて、選挙の質は低く、一定額以上納税者・白人・男性など一部の者だけが、最初に選