「段差」や「腰の負担」を解消するリフォームニーズも
また、「段差を解消したい」というご高齢の方も大勢います。
ご高齢になると足腰が弱くなって、たった1センチの段差でも簡単につまずくようになります。
そのため手すりがなければ、歩行しづらくなるのです。
しかし、脱衣所などに水が漏れていかないように、バスフロアの床の深さは、ほかの場所よりも深くしなければいけません。
その深さが、ご高齢の方にとって恐怖に変わります。
しかも、タイルやFRPなどの滑りやすいバスフロアが水に濡れてヌルヌルすると、「滑りそうで怖い」とますますストレスを感じるでしょう。
そのため、浴室に恐る恐る足を踏み入れているご高齢の方もいます。
この問題を解決するためには、バスフロアを底上げするリフォームが必要です。
さらに、蛇口の高さの問題もあります。
ご高齢になると背が縮む関係もあって、蛇口の高さがちょうど腰に負担をかける位置にあたってしまいます。
しかし当のご本人は、「そうなるのは仕方がない」と諦めてしまい、結果として、リフォームの必要性が見えにくくなってしまうのです。
バスフロアで椅子に座って身体を洗うとき、ひざ辺りに蛇口がある浴室があります。
この位置にある蛇口を利用しようとすれば、座っている人はかがむ必要があり、そのとき腰に負担がかかってしまうのです。
そこで、蛇口の付いている水栓や台を、腰に負担がかからない高さまで上げるリフォームを行います。
ホームセンターに行くと、いろいろな高さの椅子が売られていますから、適度な高さの椅子を選ぶことができます。
このようにして、適度な蛇口の位置と椅子の高さにすれば、無理のない姿勢で体を洗えるでしょう。
ほかにも、ご高齢の方ならではの悩みとして、「バスタブを浅くしてほしい」という相談があります。
一般的に、ご高齢になるほど体は小さくなる傾向にあります。
そのため、昔は難なく入ることができた大きさのバスタブでも、溺れてしまうことがあるのです。
私が担当したご高齢の方でも、「バスタブが深く感じて、入浴するときはダムに飛び込むような気持ちになる」と、その怖さを話してくれました。
また、バスタブで溺れたとき、助けてくれる人がいる保証はないので、一人の時間に入浴することが怖くなるそうです。
それは、年を重ねなければ、実感できない気持ちなのでしょう。
私は、その悩みを解決するべくバスタブの床を浅くするリフォームをしたことがあります。
ご高齢の方にとって浴室は命にかかわる場所です。
「安全な浴室には何が必要か?」を知っているリフォーム業者は、その知識を生かした浴室リフォームを提案しなければいけないのです。
小林誠司 紹介VTR
(TV番組「密着ドキュメンタリー分岐点」より)