【蓮の花は正しい信心を表す】
仏教では、桜の花や梅の花などではなく、蓮の花が描かれることが多いです。仏さまは、蓮台の上に立たれた姿で描かれます。
なぜ蓮の花が使われるのかというと、仏教で教えられる正しい信心を表すからです。
この「信心」とは、私の心で神や仏を信ずる信心とはまったく違うものです。
阿弥陀仏から頂く信心ですから、「他力信心」とか「真実信心」といわれる信心です。
蓮の花の5つの特徴が、他力信心の特徴を表します。これを「蓮華の五徳」といいます。
その中の一つに「淤泥不染の徳」があります。
「淤泥」とは、泥田ということです。蓮の花は高原陸地のような清浄なところには咲きません。ドロドロで足を踏み入れると汚れてしまうような沼に蓮の花は咲きます。
その泥田に咲きながら、蓮の花は少しも汚れず、清浄でありますから「不染」といわれます。
欲・怒り・ねたみ、そねみの煩悩具足の凡夫(淤泥)の心の中に、他力信心の清浄な花が咲くのです。
他力信心を頂いても煩悩は減りもしなければ無くなりもしませんが、煩悩はそのままで菩提(幸せ)へと転じ変わる「煩悩即菩提」の不思議な幸せが、他力信心なのです。