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ラブストーリー|待ち合わせの青葉通り|第20章 告白の夜

結婚相談所で出会った二人。
だけど、すんなり結婚できるほど、人生は単純じゃない——

静岡・青葉通りを舞台に、
すれ違い、勘違い、誤解、そして確かめ合う気持ち。
「本当にこの人でいいの?」と迷いながら、それでも惹かれ合っていく。

「…もうダメかもしれない。」
「俺との未来は、見えているの?」

婚活のリアル、恋の不器用さ、でも“本気”だからこそ、乗り越えたい。
二人を支えるのは、JOYマリッジ.comの結婚カウンセラー・八木。
「LINEひとつでも恋は終わる。でも向き合えば、新しい未来が始まるよ。」

出会いは偶然、結婚は必然——これは、未来を変えた二人の物語。


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第20章 告白の夜

夕暮れ時、三保の松原近くのレストラン『Ulalena』のテラス席に、優奈は少し緊張した面持ちで座っていた。

「ここ、素敵なところですね。」

目の前には穏やかな海が広がり、潮の香りがほんのりと漂ってくる。
静岡の地元食材をふんだんに使った創作フレンチが評判の店で、落ち着いた雰囲気が心地よい。

「前に調べて、落ち着いた雰囲気と店内の家具のデザインとか、優奈さんが好きそうだなって思ったんです。」

亮平はそう言って、少し照れくさそうに微笑んだ。その言葉が、嬉しかった。

何度かデートを重ねてきた中で、亮平の誠実さや優しさを感じることが増えていた。いつも自然体でいられるし、話していると穏やかな気持ちになれる。けれど、それが「好き」という感情と同じなのか、優奈はまだ迷っていた。

料理が運ばれてくると、会話は料理のことや最近の出来事へと移った。
炭火でグリルした駿河湾産の白身魚が、香ばしい匂いを漂わせている。添えられた新鮮な地元野菜のサラダは、色鮮やかで美しい。

「すごく美味しそうですね。」

「地元の食材を使ってるって書いてありました。食べるのが楽しみですね。」

車で来ているためワインは頼まなかったが、爽やかな柑橘のノンアルコールドリンクが料理とよく合った。会話をしながら、心地よい時間が流れる。

だが、どこか亮平の表情が普段と違う気がした。

「……実は、今日話したいことがあって。」

亮平がナプキンをそっと置き、まっすぐ優奈を見つめた。

「優奈さんと、もっと真剣に向き合いたいと思っています。
これから、他の誰でもなく、優奈さんだけを大切にしていきたい。」

その言葉が、優奈の心にすっと染み込んだ。

「真剣交際、僕と考えてもらえませんか?」

レストランの優しい照明が、亮平の真剣な眼差しをより際立たせていた。

優奈は、一瞬息をのんだ。

この瞬間が来ることを、なんとなく予感していた。
でも、いざ目の前で亮平の真剣な言葉を聞くと、心が大きく揺れる。

今まで、ドキドキする恋愛を求めていた。

でも、亮平と過ごす時間は、それとは違う安心感があった。

「私……。」

言葉を探しながら、そっと息を整える。

——これは、亮平と新しい未来へ進むチャンスなのかもしれない。

「ありがとうございます。」

優奈はゆっくりと微笑んだ。

「私も……亮平さんと、もっとしっかり向き合っていきたいと思います。」

亮平の表情がふわっと緩み、安堵したように微笑んだ。

「本当ですか?」

「はい。お願いします。」

そう言葉を交わした瞬間、潮風が心地よく吹き抜けた。

お互いに、未来へ向けて一歩踏み出した夜だった。


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