新聞協会に1000人超の賛同署名を提出 「今がチャンス!」
「ジャーナリズム信頼回復のための6つの提言」の発起人メンバーは9月14日、メディアの体質改善に向けた議論をメディアの幹部レベルで行うよう求めるため、日本新聞協会に1000人を超える賛同署名・意見書ともに提言を提出しました。
日本新聞協会には、全国129の新聞社・通信社・放送局が加盟しています。新聞倫理綱領を定め、記者クラブのあり方やメディアスクラム、セクシュアルハラスメントなどに関する見解を出している組織です。
発起人側からは、小島慶子さん(東京大学大学院情報学環客員研究員)、林美子さん(ジャーナリスト・元朝日新聞記者)、日比野敏陽さん(京都新聞東京編集部長・編集委員、元新聞労連委員長)、月岡岳さん(愛媛新聞記者・新聞労連書記長)が参加しました。
「現場の記者は『今のやり方でいいのか』と危機感を持っているのに、賭け麻雀問題が起きた時に『検事にあそこまで食い込むとはすごい』と言い出す幹部がいてさらに苦しんでいる」
「若い世代でメディアを志望する人が減り、辞める人も続いている。次世代が育っていかないことに危機感を持って対応すべきだ」
「今がチャンスだ。信頼を取り戻すメッセージになる」
発起人メンバーは賛同署名を寄せてくれた皆さんの思いを込めながら、訴えました。また、コロナ禍などでメディアの経営が悪化していることを指摘し、「ただでさえ政治の側から付け込まれやすい状況にあるときに、権力とズブズブの関係だと、あっという間に丸め込まれて政府の都合のいいことしか報道されなくなるなど、ジャーナリズムを保てなくなる恐れがある」との懸念も伝え、「業界全体で提言を受け止めて欲しい」と要請しました。
新聞協会からは西野文章専務理事らが対応。「働き方、ハラスメント、ジャーナリズムのあり方についても課題はある。読者の信頼を失わないようにしないといけない」「既存のジャーナリズムを変えていく議論をしないといけない。時代環境に対応し、読者の信頼を得るための関係性は変えていかないといけない。協会としても真摯に受け取る」と応じました。
発起人側からは具体的に、各社の編集局長などでつくる協会の「編集委員会」でこの提言について議論をし、加盟各社にも働きかけていくよう求めました。協会側は「提言は各社に伝わっているので、各社がそれぞれ試行錯誤し、理想的な方向にもっていきたい。編集委員会は、加盟社から提案があれば、議論することになる」と述べました。発起人側からは「ある新聞社の幹部も『変えるなら今だ。具体的に考えて欲しい』と言っている。ぜひ、編集委員会で議論してほしい」と重ねて要請しました。
6つの提言には同日時点で、新聞協会加盟社の現役社員127人を含め、1027人が賛同しています。全国の新聞・放送・通信・出版・広告代理店などでつくる「マスコミ倫理懇談会全国協議会」が9月25日に開いたパネル討論でも議論になりました。
「ジャーナリズム信頼回復のための提言」チームでは今後、賛同者などとの連携をさらに深め、提言実現に向けた企画を進めていく予定です。発起人一同、賛同して下さった皆さんの既存メディアに対する問題意識の表明に感謝しております。皆さんの思いは現状を変えていく力になりますので、引き続き、賛同者の裾野を広げていけるようご協力いただければ幸いです。