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縦書きは右から?左から?中国語(記事112)


日本の文章では、縦書きと横書きが共存していて、縦書きは右から、横書きは左から読むというルールがあります。
でも、中国では本も雑誌も基本は横書きで、縦書きの文章を見る機会はほとんどありません。
例えば中国の本はこんな感じです。

参考に使ったのは『絵本 窓際のトットちゃん』の中国語版です。

このように、普段接している文章は横書きですが、外出すると縦書きの標語に出会うこともあります。そして、日本人の常識である「縦書きは右から」というルールで眺めると、「あれ?」と少し戸惑いを覚えます。

「ネット上の詐欺に気をつけよう、相手が誰かわからない電話には警戒しよう」という呼びかけです。
右から読んでも意味は分かりますが、左から読んだ方がより自然ですし、そもそも左の行が一文字分、上に出ているので、左から読むのが「正解」です。
中国の文章は基本が横書きで、左から右に読むのが当たり前になっているので、中国人の感覚では、縦書きが左から読むようになっていても違和感はないようです。

ところが、近くでこういう標語も見つけました。

「技術が多ければそれだけ就職の機会が増える」という意味です。
これは明らかに右から左に読む標語です。左からでは意味がよく分かりません。

左から読む縦書きと右から読む縦書き…、いくつかの縦書きの標語を眺めているうちに、こういう看板が目に入りました。

右から「险泳鱼负」と読んでも、左から「水禁禁后」と読んでもチンプンカンプンだと思ったら、これは横書きでした。
(一番右の「水深3米」は縦書きです)

さて…。
昔は横書きでも右から読むものでした。例えば古い城門などの文字は右から読みます。

「陰司城楼」 重慶鬼城で撮影

以前は「なぜ横書きなのに逆から読むのだろう」と不思議に思ったものでしたが、考えてみたら昔の人には「左から読む」というルールがないので(そもそも「縦書き」「横書き」という概念自体がなかったのかも)、一行の字数が一文字でも十文字でも右から読むのが当然なんですよね。

目先の狭い常識だけでは理解できない事って、けっこう多いものです。

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サノマ(中国生活をつづったり、写真・画像を整理するノート)
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