中国の学校事情 義務教育でも学校がない(記事32)
中国の小中学校も義務教育ですが、日本と大きな違いがあります。
日本の場合、居住している学区の公立校が割り振られますが、中国では戸籍が置かれている学区の公立校が割り振られます。
どういうことかというと、四川人(戸籍は四川)が広東で仕事を探して、そこで四川人と知り合い、結婚して子供ができたとしても、子供も四川戸籍になるので、四川の公立校が割り振られます。
その理由は、就学児童が北京、上海、広東などに集中するのを避けるためだと思います。実際、今も既に広東の多くの学校はパンク状態です。
我が家も私は日本国籍で、妻は四川戸籍だったので(昨年、戸籍を広東に移しました)、子供たちが小学校に入る時は四川の戸籍になっていました(日本国籍は二十歳まで留保できます)。公立の小学校に通うには広東から四川に帰らなければなりません。
でも、子供だけ四川(妻の実家)に行かせるのはイヤですし、私が仕事をやめるわけにもいかないので、長女は私立の小学校に通わせました。
では、公立と私立の何が違うのかというと、ずばり学費です。
公立の学費は無料です。制服代や生活費(食事など)はかかりますが、タカが知れています。
しかし私立は一学期の学費が15000元ほどかかります(学校によってもっと高い場合もあります)。日本円にすると一学期約30万円、中国は前後期制なので年間約60万円です。その他に制服代、生活費なども必要になり、これがまた公立より圧倒的に高いため、年間で4万元(約80万円)ほどの費用になります。日本は学割などのシステムがありますが、中国はそれもないです。この出費が小学校の6年間続くことになります(中学はもっと高いです)。
それなりに収入や蓄えがある家庭なら払える額ですが、工場勤務などの中国人一般労働者は月給が5000元程度なので(残業代込みです。最近は不景気で残業も少ないでの、手取りが4000元程度という労働者もたくさんいます)、子供を私立の小学校に通わせたら半年分以上の収入が学費で費やされることになります。
そのため、両親は広東で働いて、子供は四川などの実家に帰す、という家庭がたくさんあります。
子供1人だけでもこの状態なので、2人、3人となったら、普通の中国人家庭だったら破産します。
これでは「计划生育(計画生育/一人っ子政策)」を廃止しても出生率が増えなくて当然ですね。
これから子供の数が減っていくので状況も変わっていくはずですが、我が家の娘二人は出生率が高かった頃(北京オリンピック前後)に生まれたので、大変な時代を実体験中です。
娘の私立小学校入学、公立に転校、中学進学、高校入試…、日本とは全く違う学校生活を折に触れて記録していこうと思います。
写真は留学中に撮った重慶の小学校です。
左下に光が入っているのは、カメラの不調が原因です(心霊写真ではありません)。こういうアクシデント、フィルム時代はよくありましたね。