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未だに雨は降り続ける

僕は当時17歳の高校2年生で、怖いものなんて何一つなかった
学校の先生も親も幽霊も自分が死ぬことも
怖いものなんて何も無かった。
初めてロックバンドを組んで自分が作った曲を演奏して、友達がライブハウスに観にきてくれて
ただその感情だけで満足していた。
ギターを壊し
勉強からも逃げ
バイトもズル休みし
付き合っていた彼女の事も傷つけ
僕は自分が何者かさえも分からなくなっていた。
僕は見えない何かからずっと逃げていた
目には見えない何か
今になったらその正体が分かる
それはきっと未来だった
僕は自分の限界が分からなくて
ずっと見栄を張って生きていた
絶対に来る未来に背を向けて
なんでも自分の責任にしてしまい
自分がしっかりしてないとと思い生きていた
ずっとギリギリで生きていた
ずっと無理して生きていた
でも高校生活は楽しかった
バンドも楽しかった
それはきっと怖いものが何一つなくて
未来の事など頭になかったからだ
本来の弱い自分を押し殺して生きていたからだ

高校の校舎からは高い高層ビル群が教室の窓からみえて
授業中そのビルをみるとふと不安になることもあった
僕はどうなるのかという感情が生まれることもあった
友達もいて彼女もいてバンドメンバーもいて
家族からも愛されていて
何を悩む必要があるのか?
怖いものなんて何も無い
何が不安になるのか?
でも本当の僕は
ただひたすら未来が怖かったんだと思う
死ぬことも
本当は全てに怯えて生きていたんだと思う
友達にも彼女にもバンドのメンバーにも
いつ裏切られるか分からない
本当の僕は怯えながら震えながら
高校生活を送っていたのかもしれない
このまま時間が止まって欲しかった
それは怯えながらも楽しかったからだ

それでも時間は進むし四季も一周した
僕は18歳の高校3年生になっていて
変わらず
本当の弱い自分を隠しながら
押し殺しながら全力で生きていた
春夏秋とまた自然に時間が進んで
僕はたまにめまいや
どうしようも無い不安に駆られることがたまにあった
僕は精神的にも体力的にも限界だった
日常では無理して生きて
バンドの中ではリーダーとして全てを背負って
ライブハウスの中では人に馴染めず孤立して
無理して話を合わせようとするけれど
それも無理で
僕はストレスが限界にまで来ていた

そして高校卒業間近の2月
僕はパニック発作を起こし
呼吸困難になり
死ぬかもしれないという怖さで体が震え
僕は気が狂ったように叫んだ
全ての緊張の糸が解け
ストレスのコップが溢れてしまい
本当の自分が叫んだ瞬間だった
僕はパニック障害と診断された。

そして自宅に引きこもるようになり
約7ヶ月が経った
彼女も離れていき友達も遠くへ行ってしまった
バンドメンバーの1人からは
あなたの病気が理解できない
なぜ引きこもるのか?なぜ外に出れないのか?
と言われてしまい
そのメンバーも離れていき
高校生の時から死に物狂いで続けたバンドも解散してしまった
1、2年前から考えたら想像もしていない未来だ
僕はパニック障害を治したいから
薬も飲んで体にいいことは全てしているはずなのに
一向に良くならないまま半年も過ぎてしまった
外に出ても動悸やめまいがして
電車に乗ろうとしても怖いという感情がでてきて
どこにも行けない
もう死んだ方がいっそ楽なんじゃないだろうか
そんな考えもキリがないくらい出てきてしまう。
理解されにくい病気
外にも出れない電車にも乗れない病気
誰とも遊びに行けない病気
もう疲れたよ
消えた方がいいんじゃないか
君と続けてたLINEも既読がつかなくなって終わりだ
逆にメンタルが削られる
やまない雨はないという言葉があるが
僕は未だに雨が降り続けている
本当にこの先この雨は止むのだろうか
止む前に僕が先に限界が来るのではないだろうか
それでも今を生きている
これが僕の現在地だ。

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