スペイン語における"人間的"翻訳-AIツールChatGPT
https://note.com/jotape88/n/n38e4e196bfba
・これからスペイン語を学びたいと思っている人
・スペイン語を今まさに学習中の人
・スペイン語を生業としている人
当noteはそんな人達にとって一読の価値が大いにあると思うし、何かしら感じたことに対して一緒にシンポジアできれば嬉しいです。
では。
まず今回のメインテーマであり、昨今私の心を良くも悪くも掴んで離さない「ChatGPT」。
一度使っていただくと身に染みて分かりますが、本当にこれまでのテキスト生成モデルやAIチャットツールとは格が違います。
それをとりわけ実感したのが「"人間的"翻訳力」。
とまあ言葉で色々説明するより、"百聞は一見に如かず"ということで、
今回はとある実験を通して皆さんに、
「これからの外国語勉強」から「人間らしさ、人間的な価値」といった
壮大なテーマにまで考えを巡らせてほしいなって思っています。
"3大翻訳ツール"の中、最も人間的なのはどれか
誰しも一度は使ったことのあるであろう「Google翻訳」。
google翻訳以上の高性能な翻訳機能で人気を博し、私自身も仕事でよくお世話になっている「DeepL」。
そして、ここに突如現れたダークホース「ChatGPT」。
この3ツールを用いて比較していきます。
実験内容
実験で確認する点はたった1つ。
それは、これまで人間だからこそ可能だと思われていた「人間的翻訳力」。
つまり「意訳」です。
つまり、意訳とは文脈を理解していなければできません。
Google翻訳のような従来のツールでは、どこか不自然な文章になるのは日常茶飯事。
それは、人間のように文章や文脈を通じて意味を変換できていなかった="意訳"できていないから。
そこで今回、この点を確かめるため準備した文章が次の3つ。
【例文1】Perder el norte「目的や目標を見失う」
【例文2】ir en Ron「酔っ払う」
【例文3】cuatro gatos「少ない」
従来の機械的な直訳しかできない場合、これらの例文はどれもトンチンカンな仕上がりに必ずなるはず。
ところがやはり、ある1つのツールだけは私の想像を遥かに超える成果を見せてくれました…
まあ結果は見えていますが、結果以上にその内容に注目です。
【例文1:perder el norte】 Google翻訳
やはり今回紹介するツールの中で最も性能が低いGoogle翻訳らしい結果でした。
しかし、こうした直訳こそこれまでの翻訳ツールならでは。
だからこそ、人間の存在価値があったのです。
「北を失う」なんて、、、
そんな可能性のごく僅かな訳は事前に排除してほしいですよね…
では次に、高性能翻訳ツールとして人気のDeepLを見てみましょう。
【例文1:perder el norte】 DeepL
期待通り、Google翻訳よりも断然マシな翻訳をしてくれたDeepL。
ただ、本来この表現が使われる際において適切な意味かというと、意味合いが若干異なります。
求めていたのは「目標や目的を見失う」のようなニュアンス。
「迷子、迷走、まよい」も悪くありませんが、、、
せめて"その他の候補"部分にはあげて欲しかったですね。
では最後に、注目のChatGPTを見てましょう。
【例文1:perder el norte】 ChatGPT
す、すごい….
perder el norteの意味として最も適切な「目的や目標を見失う」「混乱する」といった直訳ではできない翻訳をしてくれました。
Google翻訳と比べると、その差は歴然ですよね。
また、ChatGPTのメリットとして注目なのが「会話形式」。
私はこの後、次のように続けるようお願いしてみました。
答えを生成してくれるまでにかかった時間はわずか5秒。
2つ目の例文はperder el equilibrioを用いて作文していましたが、これはperder el norteと同一の意味であることを示唆しているのでしょうか…
文法やスペルミスは全くないうえ、文章の作り方も非常に自然。
添削する点は何一つ見つからない、なんとも優等生な文章を作ってくれました。
では次の例文2を見てみましょう。
【例文2:ir en Ron】 Google翻訳
てっきりGoogle翻訳なので「ラム酒で行く、ラム酒の中に行く」のような機械的な直訳を想定していましたが、思った以上に悪くない翻訳を見せてくれました。
ただ、こちらが期待していた最も適切な訳ではありません….
さあ、次のDeepLに期待してみましょう。
【例文2:ir en Ron】 DeepL
おっと
DeepLにしては今回の翻訳は質が悪いですね。
いくつかその他の候補を出してくれるのはDeepLの長所でもありますが、私たちが求めていない直訳的な「ラムに入る、ラムで行く」まで候補に入れるのは従来通り"機械的な翻訳"といえるでしょう。
では最後に、我らがChatGPTを見てみましょう。
【例文2:ir en Ron】 ChatGPT
非の打ち所がありません….
「ron」が「ラム」であることを踏まえつつ、フレーズの一部になると「酔っ払っている状態」であることまで説明してくれました。
さらには聞いてもいない例文まで紹介してくれる始末。
そんなありがたいChatGPTさんに、次は3つほど例文を作ってくれるよう無茶振りしてみました。
するとこれも10秒以内に全て作ってくれたうえ、しっかり日本語訳付きで対応してくれる気の利きよう。
また驚くことに、市販のスペイン語テキストのような拙劣な文章でなく、日常に近い実用的な文章を用意してくれています。
(例文2のようなacabar + 現在分詞の用法まで自然に入れてくるとは、作文レベルの高さがうかがえます…)
【例文3:Cuatro gatos】 Google翻訳
例文2では健闘したGoogle翻訳でしたが、やはり例文3は難しすぎたようです。
従来の機械翻訳らしい、「4匹の猫」という"直訳"を見せてくれました。
【例文3:Cuatro gatos】 DeepL
これまで信頼していたDeepLも、ここ2戦2敗。
期待を込めて打ち込んだ2秒後に出た結果がこちらです。
「4匹の猫」は頑なに訳され、語尾や句読点のみを若干アレンジして訳に変化を加えるという無駄な頑張りを見せてくれました….
やはり、最後に頼れるのはChatGPTしかないのかも知れません。
でも、これを綺麗に翻訳されてしまえば人間の特権さえ失われてしまうのではないか…..
そんな期待感と恐怖心を胸に、いざ。
【例文3:Cuatro gatos】 ChatGPT
もう敵いませんね。
しっかり「4匹の猫」という意味もありますが、このフレーズでは「少数の人」である方が適切であろうということまで説明してくれています。
そして、ありがたいことに例文付き。
その辺のスペイン語講師より親切なのではと思ってしまいます。
例文3もこの通り。
しっかり文脈を理解し、「猫ではなく人」であることを認識して訳してくれています。
だってそうですよね。
「この番組はたった4匹の猫しか見ていない」なんて直訳してしまえば、確かにそんなシチュエーションもあるかも知れませんが、そうである可能性はごく僅か。
ここを認識して言語を操れていたのは、かつては人間のみでした。
ただ、ChatGPTはこうした人間の特権さえ徐々に持ち合わせています。
ちなみに、こうした要望にもさらっと答えてくれました。
言わずもがな、文法的、スペル的にも完璧な自然な文章です。
いかがでしたか?
語学に関わる立場の方にとっては嫌でも目が離せない事実になったのではないでしょうか。
本当に便利な世の中に近づいていますよね。
でもその一方で、心の底から喜べない自分のような人も少なくないと思います。
特に、現在進行形で語学を勉強している人。
語学を仕事にし、生きる道となっている人。
皆さんはそれぞれ何を思い、何を感じたでしょうか。
語学を学ぶ意味・意義とはなんですか?
人間だからできていた事とは?
ここ最近そんなことばかり考えてしまうのです。
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