『YOUR TIME』の感想&解説
本当に最後の時間術だった『YOUR TIME(ユア・タイム)』のレビューです。まず最初に本書ですが、私にはしっかり効果がありました。
本書の内容を1ヶ月実践してみましたので、そのあたりもふまえてレビューします。
◆基本情報
◆最初に所感
本書では多数の時間術を紹介しつつも、それがどんな人に合っていて、どんな人には効果が薄いのかを解説しています。
私自身も本書の時間術を1ヶ月実践した結果、時間の使い方が大幅に改善されたと感じています。
◆本書のポイント
●時間術はほとんど効果がない!?
スケジュール帳、ToDoリスト、if-thenプランニングなど世の中にはたくさんの時間術があるにも関わらず、未だに多くの人が時間が足りない悩みを抱えてます。
万人に効果のある時間術が存在しない理由、それは
時間感覚のズレには人それぞれ異なる原因があるから
上の3人では作業が進まない点は同じだとしても、原因は全く違います。
骨折している人に風邪薬を処方してもケガは治らない様に、時間術もタイプによって合う合わないがあります。
ならばそれぞれの時間感覚タイプに合った処方箋を出そうというのが本書のアプローチです。
●そもそも時間感覚とは
人間には「視覚」「聴覚」等とは違い、「時間を感じ取る感覚器官」があるわけではありません。それでも私たちは「時間の流れ」を感じています。
私たちが時間の流れを認識しているのは過去から現在、現在から未来の「変化率」を脳が瞬時に計算しているからです。
このように人は自分が体験した経験などから予想される、確率の高い変化を常に脳内で算出し続けています。
「時間感覚のズレ」というのは「予期」と「想起」のズレということです。
この感覚にズレがあると、
「締め切りまでまだまだ時間がある」(予期が薄い)
「これは大変な作業だから腰が重い」(想起が誤っている)
といった誤った認識が生まれます。
予期と想起にはそれぞれ以下の4タイプがあり、4×4の計16タイプの時間感覚に分類されます。
たとえば
このような16タイプそれぞれに応じた処方箋を提案し、予期と想起のズレを正しく調整するのが本書の目的になります。
●時間感覚タイプ診断
本書では4×4の計16タイプの時間感覚タイプに応じた時間術を提案しています。
以下の特設サイトに時間感覚タイプ診断があります。
5分かからないので先にこちらをやってみるのが良いと思います。
ちなみに私は「容量超過×怖がり」になりました。
なお、時間感覚タイプはタスクの内容や環境によっても変わるため、ある程度主観による判断も取り入れて良いそうです。
(例)単純作業は想起が「肯定的」だがクリエイティブな作業では「否定的」
(例)仕事では予期が「濃い」がプライベートでは予期が「薄い」
◆本書の時間術(一部抜粋)
私が実際に試したものも含め、一部を紹介します。
1.プレコミットメント(予期が「濃い」人向け)
予期が濃すぎる人は少しでも目標から外れた行動をするとストレスを感じ、人生の満足感を得られない傾向があります。
また、いろいろなものを犠牲にし過ぎたり、燃え尽き症候群に陥り本来の目標すら達成できないケースがあります。私もこれに当てはまりました。
プレコミットメントとは「遊びの予定を事前に決めてしまう」ことです。
キャンセル料が高いホテルを予約する、友達と予定を決めてしまうなど、取り消しがきかない予定を立ててしまいます。
これにより生産性にこだわり過ぎ、目先の欲求を犠牲にする体質を改善する効果が期待できます。
また、個人的には先々の遊びの予定を組み込んでしまうことで、モチベーションの向上、それまでにタスクを終わらせないといけないという締め切りの前倒し効果もあったと感じました。
2.障害プランニング(予期が「多い」人向け)
予期が多すぎる人は頭の中に浮かぶイベントの数が多すぎて容量超過に陥ります。その結果、脳のリソースが分散しタスクをこなす事ができなくなります。
障害プランニングは「どんな問題が起きるか」を考えて事前に対策をリストアップすることです。
想定するトラブルは自分の作業を中断させるものならなんでもよく、
など考えられるだけ全てリストアップします。
次にそのトラブルが発生したらどうするかを、事前に決めておきます。
このように想定される問題と、その時の自分の行動を事前に決めてしまうことで、不測の事態による思考のフリーズやモチベーションの低下を防ぎます。
3.タイムログ(想起が「誤っている」人向け)
想起が誤っている人は、本当は1時間かかったタスクも「30分くらいで終わったはず」など事実を誤認しているため、スケジュール作成の段階から無理な計画を立てて破綻している傾向にあります。
タイムログは自分が時間をどう使ったかを記録する方法です。
実際にかかった時間が客観的・数値的にわかれば、スケジュールを立てる時に「類似したタスクにどれくらいの時間がかかるのか」を見積もれるため、現実的に無茶なスケジュールを組むということがなくなります。
タイムログはやることはシンプルですがかなり効果があったと感じます。
4.ごまかし率を計算する(想起が「肯定的すぎる」人向け)
想起が肯定的すぎる人は、過去の記憶の解釈が過度にポジティブなため、根拠のない「全部うまくいったパターン」の計画を前提にしてしまいがちです。
「ごまかし率の計算」の方法は先ほどのタイムログの応用です。
これにより「余裕をもったスケジュール」を立てることが可能になります。
◆補足
本書の時間術はまだまだありますが、自分にあったものを1つ実践してみるだけでも十分な効果を感じられると思いました。
また、時間感覚タイプは作業内容によっても変化するため、もし特定の時間術が効果がなかったとしても、「この作業には合ってない」だけかもしれません。
「このタスクでは自分はどのタイプに当てはまるかな」と立ち止まって考えてみるのも大事そうです。
また本書の後半では
といった内容も書かれていますので、常に時間に追われている感覚のある方は是非読んでみてください。