偏食でも根気よく <食の指導>
食を広げる
カレーライスは、ルーと白いご飯が混ざるから食べない。
食べるのは、から揚げとポテトだけ。
しかも、ハンバーガー屋のフライドポテト限定…
よくある偏食のパターンですね…
でも、成長期の栄養のために、バランスよく食べてほしいですよね。
家族でお出かけした時に、そこでしか食べられないものをみんなで食べたいですよね。
また、大きな災害が起こり、数日間避難所生活をしなければならなくなるかもしれません。
偏食は、「好き嫌い」と「感覚過敏」の見極めは難しいですが、食の幅を広げ、心と体の成長を促し、充実した毎日にしたいですね。
食は、成長に大切な要素です。
「本人の意思を尊重する」ことは大切ですが、優先順位で判断しましょう。
自己選択・自己決定は、他の場面で設定できます。
10年先、20年先の子どもの身体の成長に、科学的な根拠をもって説明できる選択をしましょう。
学校の給食を次のように考え、食の指導を少しずつ、そして根気よく進めていきましょう。
<食の指導の基本的な考え方>
1)学校給食は教育の一環
「学校給食法」第2条に、次の7つの目標が定められています。
[健康、食習慣、協同、環境、生命の尊重、食文化、流通]
必要に応じて個別の自立活動に位置付けます。
給食はただのランチでも、先生の休憩時間でもありません。
2)根拠に基づく客観的なアセスメント
個人的な教師の思いや価値観、生活習慣ではなく、客観的なアセスメントを基に指導を進めましょう。
これらの観点で、子どものつまずきを把握しましょう。
また、これらアセスメントの観点で、偏食が改善された事例を調べ、再現性のある手立てを研究しましょう。
3)目標と支援の手立てを明確にする
* 短期間で評価できる目標を立てます。
期間を区切って評価することで、目標と方法が妥当かどうかを振り返ります。
* 手立ては「手を変え品を変え」柔軟に試行錯誤してみます。
以前にやった方法を、しばらくしてから再挑戦すると食べることもあります。
* 学校でできること、家庭で取り組むことを確認しておきます。
「一口だけ食べよう」「好きなものは最後に食べる」などのルールを、家庭と同じにすることも大切です。
4)取組例
①食べなくても出し続ける
…突然ブームが来て、食べ始めることがあります
②食べる量を明確に示す
…どこまで食べれば終わりかわからないのは不安です。
また、ちょっと食べられたからといって、後から増やしてはいけません。子どもとの約束は大人も守りましょう。
③食べさせ方を変える
…指導者が介助するポジションは、右側からがいいか。左側からか? 正面で見本を見せながらか…など、試してみましょう。
④環境を変えてみる
…扉が正面に見えると、廊下が気になって、食べることに集中できないかもしれません。
⑤食具を変えてみる
…ステンレスのスプーンが舌に当たる感触が我慢できない子どももいます。わたしは紙ストローがダメです…
⑥ほめる
…次も食べてみようかな、と思わせることは大事です。
しかし、褒めないと食べないよ、と駆け引きされてはいけません。そのためには、食べたことを褒めるのではなく、食べる気持ちになったことや、上手に口に運べたことなど、「プロセス」に注目するようにしましょう。
⑦一緒に準備する
…食缶から自分で食器によそうと、その流れで食べることもあります。
⑧苦手な食材に親近感を持たせる
…プチトマトなど、種まきから水やりをして育てていくと食べた!という例はよくあります。
5)気をつけること
食べるようになってほしい、という気持ちが強いあまり、偏食だけではなく、大人不信や心の傷になってしまわないように気をつけましょう。
* 無理強いしない
* 「わがまま」と捉えない
* 食の場面だけで「なんとかしよう」ではなく、1日の活動のやりとりの一つの場面と考える
* 遠回りでも根気づよく、食を広げていく
* ごほうびで釣らない
…外発的動機付けは、成長を促す手立てにはなりません。
スラムダンクの安西先生も言っていますよね。
「あきらめたらそこで試合終了ですよ…?」