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「わかりません」が言えるために必要な 3つの “ わかる ”
わからなくて困った、次に何をすればいいんだろう…という場面は、たくさんあります。
子どもたちがそんなとき、「わかりません」とヘルプが出せると、次の行動に進むことができます。
わからないときに「わからない」と言うのは当たり前、なんで言わないの?
と、言わせることを指導していませんか?
しかし、「わかりません」と言えるためには、次の3つのことを“わかる”ことが必要です。
①【内容の理解】
わかっていること・わかっていないこと が “わかる”
②【人の理解】
「わかりません」と言う相手が “わかる”
③【目的の理解】
わからないことがわかったときのメリットが “わかる”
ただ単に、「わかりません」と言わせることが指導ではありません。
まず、「内容」と「人」と「目的」の3つの “わかる” が、生徒の頭の中に思い浮かんでいるのか、をアセスメントします。
そして、「きづく→わかる→できる」を丁寧に指導しましょう。
① 【内容の理解】
わかっていること・わかっていないこと が “わかる”
「わかる」とは、あるモノゴトと別のモノゴトとの違いに気づき、「分ける」ことです。
生徒がモノゴトをわかるプロセスは、次の通りです。
❶ 対象になるモノゴトに注意を向け、そのモノゴトの名称(ことば)や用途、機能、関係を知っている
❷ 対象となるモノゴトについて、記憶のデータベースにあるかないかを検索する
❸ 記憶のデータベース(知識)がない=わからないという状態を自分で認識する
このプロセスのどこでつまずいているのか、を見極めることが、“わかる“ことのアセスメントです。
② 【人の理解】
「わかりません」と言う相手が“わかる”
わからないときに、「わかりません」というためには、次の2点が必要です。
①「わかりません」という言葉
② だれに言うか
生徒の日常生活の人とのかかわりの中で、ラポールができていることが土台となります。
「わかりません」と、繰り返し言わせるだけの指導になってはいけません。だまって止まっていたら、「どうしたの? わからないんだね?」と、共感するやりとりが大切です。
はじめは、特定の安心できる大人(先生)に、そして次に周りにいる大人へ、そして友だちへと、関係を広げていきましょう。
そのうえで、だれに言うことが適切か、の理解を促します。
③【目的の理解】
わからないことがわかったときのメリットが“わかる”
困った時に「なんとかしたい」という気持ちをもつことが必要です。
困っていなければ、「わかりません」という必然性がありません。
わからなければ「わからない」と言うのはあたりまえだと思うのは、大人の勝手な思い込みです。
そもそも、先生が学習活動の目的を、子どもに理解させているのか、先生の指導力が問われます。
目の前のわからないことを解決することで、より楽に、より早く、より楽しく、より豊かに社会生活を過ごせるようになることが、学習活動の大きな目的です。
「わかりません」と言うことで問題が解決し、「やったー」と達成感を得られることで、さらに前に進むことができます。
「わかりません」と言わせることを「目的」にして指導しないように気を付けましょう。