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コロナの先にある新たな時代における美容界の焦点は?/「(一社)美容の価値を考える会」会員向け講演会

 さまざまな視点から美容業の意義を追求し、その価値の認知活動に寄与する(一社)美容の価値を考える会(阿部恒之理事長)は、5月18日(火)13時より第4回 理事会、13時30分より第4回 定時総会をオンラインで開催。決算報告や事業方針の提案、役員改選などの議事が滞りなく承認された総会の後、14時から恒例の「会員向け講演会」を、東京都新宿区のアリミノホールに講師を招いて、引き続きオンラインでライブ配信した。

 同会は昨年、新型コロナウイルス感染抑止への考慮から、活動の主軸である講演会およびシンポジウムを全面中止としており、講演会の開催は2020年12月以来約1年半ぶり。当日講師として招かれた(有)原田左官工業所代表取締役の原田宗亮氏と(株)GREANNESS代表取締役の橋本幸生氏は、前年5月開催の講演会に出演予定だったが、テーマが「アフターコロナ――美容の未来を切り拓く」とコロナ禍の先を見据えた内容で仕切り直しされた上で、改めて依頼を受けての出演となった。

 第1部では、「新しい時代のプロを育てるヒント」と題して原田氏が講演。同氏は(一社)日本左官業組合連合会に所属し、青年部副部長の立場から人材育成を企画するなど、高齢化が深刻な課題となっている職人世界にあって、効率的な教育プログラムによる短期育成に尽力している。

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左官技術者の育成について説明する原田宗亮氏。

 冒頭においては経済ドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」(テレビ東京系列)で取り上げられた際の映像で、人材育成の様子を紹介。不人気職業のイメージを払しょくする取り組みとして、若い人、そして女性でも入りやすい職場の環境づくりや教育システムの確立を図る他、今の時代にマッチした職自体のイメージアップに向けた取り組みに注力していることを明かした。

 原田氏は「こういう仕事もあると知ってもらう働きかけは必要」と、職場体験やインターンシップなどにも積極的に協力していることにも言及。そこから数人が原田左官工業所に実際に入社し、活躍し始めているという事例も添えた。

 第2部の橋本氏は東京・原宿の「Hairsalon BREEN Tokyo」をはじめ、「WARREN・TRICOMI NEW YORK」(表参道FCサロン)、静岡・浜松のヘアカラー専門店「Beauty Color Plus」のFC展開、そして「KANGOL BEAUTY」とのライセンス契約によるヘアサロンなどを展開する目線から、「多様性社会を生きる新しい美容室のあり方」のタイトルで講演を行った。

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多種多様なサロンビジネスの可能性を示す橋本幸生氏。

 原田氏は人財育成の基本的な考え方として、教育にかける時間を「コスト」と捉えた持論を展開。「投資に対していかに採用、販促、教育研究費などの未来費用として回収するには、コスト(教育時間)はなるべく低く抑えた方が良い」と企業を永続させる上での早期育成の効果について説明した。

 それを実践するための経営者、またはキャリアを積んだ技術者のパラダイムシフトが必要であることを唱えた上で、そこから「教育自体の販売」「他業界への販路拡大」「ブランド力の活用」など、サロンビジネスの選択肢が広がっていくことも示唆。「物心両面での豊かさを追求することが、スタッフの生きがい、やりがいに結び付く」と述べ、美容師を“なりたい職業の1位に”というビジョンを掲げた。

 講演会の締めのあいさつで美容の価値を考える会常任理事の蒲生 茂氏は「この時期にこういう企画ができて良かった。やはり交流をなくして情報を得られない。コロナ禍はまだ続きますが、互いに健康に気をつけて、困難な時代を乗り切りましょう」と述べていた。