【英語】動名詞と現在分詞の違い
英語は覚える形は少ないですが、実は形が同じだけで全くの別物、というものがとても多く、
英文法の学習では、それらを見分ける訓練に多くの時間が割かれます。
いわゆる「構文解析」っていうやつです。
今回の「動名詞」と「現在分詞」も、そんな「似て非なる物」の1つ。
「play」の動名詞は「playing」。
「play」の現在分詞も「playing」。
全く同じ形。
同じ単語なのでは?とさえ思えてしまいます。
ですが、実はこの2つは元々出自が全く違うものでした。
形も、
動名詞の方の語尾は「-ung」など、
現在分詞の語尾は「-ende」と、
違いが一目瞭然だったようです。
ところで、ゲームやスポーツで「プレイング」ということがありますね。
英語で書けば「playing」。
あれは動名詞?それとも現在分詞でしょうか?
実はあれは「名詞」なんです。
?????
一旦、「名詞」「動名詞」「現在分詞」を整理しましょう。
名詞とは何か。
「主語になれる」
「動詞の目的語になれる」
「前置詞の後に続けられる」
この3つの他に、もっと重要なのが
「冠詞がつけられる」
「形容詞で修飾できる」
この5つが「名詞」の重要な点だと僕は考えます。
3つの「playing」の中で「the playing」と言えるのは、「名詞」の「playing」だけ。
では、動名詞は何か?
これは名詞の一種です。ここが重要。
しかし、半人前の名詞です。
上記の特徴のうち、最後の2つが当てはまらないからです。
冠詞をつけたり、形容詞で修飾ができないんです。
その代わり、ほかの名詞にはない長所を持っています。
それが、「目的語を持つことができる」です。
普通の名詞であれば、「the playing of the game」(ゲームのプレイング)のように、別の名詞との間に「前置詞」などのつなぎ言葉が必要です。
ところが動名詞は、「playing the game(ゲームをプレイすること)」と、つなぎ言葉なく、直接他の名詞(のかたまり)をくっつけて、目的語にすることができるのです。
ここはとても「動詞」とにています。
I look forward to meeting you.
よく不定詞と混同する、定番の熟語「look forward to」です。
この「to」は「to不定詞」の片割れではなくて、ただの前置詞です。
そのため、この後には名詞(のかたまり)が続きます。
I look forward to my summer vacation.
「meeting you」は「名詞(のかたまり)」として見なされるのです。
つまり、動名詞はあくまでも「名詞の一種」というわけです。
ただ、冠詞や形容詞を付けられないので、完全な名詞ではありません。
次に現在分詞ですが、
これは「動詞の一種」です。
しかし、半人前の動詞です。
そもそも動名詞とはグループからして異なります。
つまり、
「主語になれない」
「目的語になれない」
「前置詞の後に続けられない」
「冠詞をつけられない」
「形容詞で修飾できない」
ものです。
一方、現在分詞には動詞としての特徴があります。
それは、
「主語を取れる」
「目的語を取れる(他動詞の場合)」
「副詞で修飾できる」
です。
半人前なのは、文が作れないからです。
ここは普通の動詞と大きく異なる点です。
上で僕が言う「主語」は正確な表現ではなくて、
I read the newspaper drinking coffee this morning.
の「I」という、れっきとした主語も指せば、
I saw a man sleeping on a bench in the park.
I saw a sleeping man in the park.
の「a man」のように、文の主語ではないけれど「sleep」の動作主である場合も指します。
特にこの最後の2つの例文のように、「形容詞として使える」ことが、動詞と現在分詞を分ける大きな特徴の1つです。
あと、動名詞と現在分詞の重要な違いは、
動名詞は「動作の全体を表す」
現在分詞は「途中の動作を表す」
です。
この「動作の全体(一部始終) vs 途中の動作」は、
「現在形 vs 現在進行形」の対立関係ととてもよく似ています。
I like playing videogames. (テレビゲームをするのが好き)
こちらはゲームプレイという動作全体を指しています。
Playing videogames, I spilled coffee on my laptop.
(ゲームをしていて、コーヒーをパソコンにぶちまけた)
こちらはの場合「ゲームプレイ」は進行中、つまり途中の動作を表します。
もし「動作の全体」を表すなら、
この人はゲームを開始してから終了するまで、際限なくコーヒーをパソコンにこぼしていることになり、まあ不自然です。
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ではなぜ、動名詞や現在分詞がそもそも必要なのでしょう?
僕の推測ですが、、、、
①英語は、「of」がたくさん続くのを避ける言語。
②英語は、1つの文の中で動詞をたくさん使うことを避ける言語。
①は、動名詞で解決できます。
「playing」を例にすると、
I like the playing of the game. と言うこともできるんですが、
I like playing the game. と言えば、「of」を減らすことができます。
上の例では「of」が一つだけなのでまだマシですが、
場合によってはもっと「of」が必要になることもあります。
それが英語的に美しくなく、動名詞がこの問題を解決してくれます。
②は、現在分詞で解決できます。
While I was playing the game, I spilled coffee on my laptop.
これ自体全く間違った文ではないのですが、
動詞が「was playing」と「spilled」と2つあります。
主語もダブってるし、接続詞の文もあって長ったらしい。
しかし、現在分詞だと、この「美しくない」問題が解決できます。
「接続詞の文を省略できる」は現在分詞が愛用される1つの理由です。
She did not come to work because her child was sick.
これは全くもって正しい文なのですが、
She did not come to work due to her child being sick.
というような作りをした文も、とてもよく見かけます。
特にこの「being」、学生時代はここまで活躍するとは思わなんだ。
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いかがでしたでしょうか?
以上が、動名詞と現在分詞の違いです。
I am considering planning a meeting with my counterpart.
上の文の場合、「considering」は「現在分詞」、
「planning」は「動名詞」、
「meeting」は「名詞」です。
なんとややこしいことか。
どうしてこんな区別の勉強をしないといけなのでしょうか。
形が一緒なんだし、意味が理解出来ればいいのだから、
わざわざ勉強する必要はないのでは?
冒頭にも書きましたが、
英語は、覚える形自体は少ない言語です。
それは他のヨーロッパの主要言語を見渡しても分かります。
「ドイツ語は格変化が多い!性もあって大変だ!」
「フランス語の動詞の活用形は多いし、不規則動詞もたくさんある!」
このように、文法の複雑さについて話をするとき、
ともすれば僕たちは「変化の形の多さ」に目が行きがちです。
この視点から見れば、英語は確かに簡単な言語です。
ですが、英語も元々は複雑な変化をする言語であったため、変化形がほぼ消えたとは言え、意味の区別自体は残っているのです。
つまり、昔は複雑な意味の区別を、同じくらい複雑な変化形で区別していたのですが、
今は、複雑な意味の区別は残ったまま、見た目では見分けがつかなくなったのです。
これが、僕の考える英語の難しさです。
この記事が少しでもお役に立てば幸いです。
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