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元凶は「シュワ」だった。
こんにちは!
自分がなぜ英語のリスニングが苦手なのか、その理由を考えてきたのですが、「英語のリズムに乗れていない」のが原因だろうという結論に至りました。
そして、リズムに乗れない元凶は、特に「曖昧母音」の認識にあると気づきました。
曖昧母音とは、アともエともつかない、口の力を抜いたまま出す音で、発音記号ではアルファベットの「e」の形を逆にした「ə」という記号で表されます。
この記号の名前が「シュワ(Schwa)」というので、ここから先は「シュワ」と呼ぶことします。
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シュワの話を進める前に、少し日本語と英語のリズムの違いを説明します。
日本語の音のリズムは、「音節」ではなく、「モーラ」と呼ばれる単位から成り立っています。
この「モーラ」は、仮名の数と大体同じであることが多いです(「ャ」「ュ」「ョ」等を除く)。俳句や短歌を詠むときに、5・7・5(・7・7)を指折り数えるあの拍数が「モーラ」と同じです。
例えば、「イングリッシュ」は、「イ・ン・グ・リ・ッ・シュ」の6モーラから成り立っています。
これに対して英語の音のリズムは「音節」が一単位になっています。「音節」は、「子音+母音」で終わる場合や、「子音+母音+子音」で終わる場合などもありますが、必ず母音が1つ含まれています。
英和辞典では、音節の切れ目を「・」で示していることが多いです。
「English」は、「Eng・lish」の2つの音節から成っています。
音楽の音符に例えて、この「音節」と「モーラ」を同じ「1拍」だと考えるなら、「イングリッシュ」は6拍、「English」は2拍になります。
日本語の方が3倍も多く拍を使っているので、この「モーラのリズム感」が頭にあると、英語を聴く際にはあっという間に置き去りにされることになります。
というのが、僕のこれまでの理解であり、誤解でもありました。
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最近、ようやく気付いたのは、「シュワは「1拍」ではなく「半拍」なんじゃないか?」ということです。
これまでは、英語の音節はどれも均等に発音される、音符で言えば四分音符が連続するイメージだったのですが、どうも違うと気づいたのです。
きっかけは、ドラマを見ていた際に「it occurred to me」の「occured」の「o」が全く聞こえず、「カー」とだけ聞こえたということです。
何度も聞いているうちに、単語の最初の母音がシュワのときは、音が半拍になるのだと分かりました。
音楽で言えば、アウフタクトや修飾音符の八分音符のようなイメージです。
ちなみに、「to」も「tə」とシュワで発音されるので、ここも半拍になります。
結果、「it occured to me」は、拍の切れ目を縦線( | )で表すと、
it o| ccured to | me
となります。
これを僕は今まで、
it | o | curred | to | me
と、5拍で考えていたので、実際に発音される英語のリズム感と外れてしまい、聞き取れていなかったのです。
日本語のモーラは全てがほぼ均等な長さで発音される、つまり「裏拍のない言語」なので、無意識のうちにこのリズム感を英語にも適用してしまっていたようです。
一方で、英語では、「it occured to me」は、強拍になる音(=はっきりと聞こえてくる音)は「イ」「カ」「ミ」の3つしかありません。
裏拍になる「occuredのo」と「to」を聞き落してしまう、あるいは、意識し忘れてしまう、ということになるのです。
このリズム感の違いは、カタカナの「オカ―」で覚えていると全く意識できません。
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なお、上記のリズム感は、一つ目の母音がシュワ以外の場合にも言えて、第2音節以降にアクセントがある場合は同じような「裏打ち/装飾音符のリズム感」になります。例えば「endure」の「en」はシュワではありませんが、これも裏打ちになります。
日本語の音はどれも表拍なので、知らず知らずのうちに日本語のリズム感で英語を聴こうとしていたようです。そりゃ、リズムに乗れないわけだな。
しかも、拍の区切り方は、単語レベルだけでなく、文単位で見ないといけないのも、厄介ですね。
このことに気づいた表現が「it occurred to me(突然気づいた)」だったのは、面白い偶然だなと思いました。
ここまでお読みくださいましてありがとうございました。