【ドイツ語】接続法II式《現在》
以前から何度も取り上げていますが、
今回も接続法II式「現在」を取り上げたいと思います。
(もう少し「作り方」に重点を置いてみようと思います)
苦手意識を持つ方が少なくない接続法II式。
ですが、遠慮がちで思いやりのある我々日本人には、
切っても切れない関係にある、接続法II式。
実は、全ての動詞でこの形を覚えておく必要はありません。
では、どの動詞を覚えたら良いのでしょうか?
それを早速見ていきましょう。
規則動詞
いきなり出オチですが、規則動詞の接続法II式現在は覚える必要なし。
理由は2つあります。
1つ目は、直説法過去形と完全に一致すること。
2つ目は、限られた場面でしか使われないこと。
1つ目については、論より証拠。「lernen」の接続法II式をご覧あれ。
Ich lernte Wir lernten
Du lerntest Ihr lerntet
Er/Sie/Es lernte sie/Sie lernten
どこかで見たことがある気がする……と思ったそこのあなた、正解です。
直説法過去形と全く同じ形をしています。
そのため、新しいことは学ばないので、割愛して構いません。
2つ目の理由ですが、
接続法II式「現在」の規則動詞は、ほとんどの場合
würden + 動詞の原形
という形で置き換えられて使われます。
本当にごく一部、規則動詞の接続法II式が単独で使われることがあります。
典型例は、新聞等での誰かの発言の引用ですね。
この引用は、通常は接続法I式の守備範囲なのですが、
こちらもこちらで直説法現在形とあまりに形が似ているので、
見分けるために、接続法II式を借りてくることがあるのです。
でも、私が思いつく、規則動詞の接続法II式現在の例はこれくらいです。
では、どの動詞を覚えれば良いのか?
ずばり、「不規則動詞」です。
とは言えまずはこの3つの助動詞から
不規則動詞は、接続法II式現在でも不規則な活用をしてくれます。
そのため、直説法との混同が(ほぼ)避けられるわけなんです。
とは言え、接続法II式現在を学びたての方の場合は、
まずは動詞ではなく「助動詞」を学ばれることをおススメします。
接続法II式って、動詞よりも助動詞の方でよく使うんですよ。
まずは3つの助動詞。
はい…もはやお馴染みの
「sein」「haben」「werden」
このトリオです。
基本的に、不規則(助)動詞の接続法II式は、
直説法過去形に、ウムラウトをつける。
この規則に則って作られます。
ちょっと順番を変えて、「haben」から見てみます。
「haben」の直説法過去は、
「ich hatte, du hattest, er hatte, wir hatten, ihr hattet, sie hatten」
「a」はウムラウトすることができる母音ですね。
そのため、「haben」の接続法II式現在は次のようになります。
ich hätte wir hätten
du hättest ihr hättet
er hätte sie hätten
これだけです。
次に、「werden」の場合を見てみましょう。
「werden」の直説法過去は、「ich wurde, du wurdest…」と「wurd-」という形で始まりますね。
そして「u」はウムラウトができる母音です。
そのため、接続法II式現在は次のようになります。
ich würde wir würden
du würdest ihr würdet
er würde sie würden
これも、作り方自体は分かりやすいですね。
さて、残りの「sein」ですが、
これは、直説法過去形は「ich war, du warst…」となります。
「a」はウムラウトができる母音なので、「ä」に変えるのですが、
「sein」の場合はここでは終わらず、「wäre」というように「e」が「r」の後につくようになります。
流石、不規則中の不規則「sein」です。
ちなみにこの「wäre」と、英語の仮定法過去の「were」、何か形が似ていませんか?
実は、英語の仮定法過去の「were」とドイツ語の「wäre」は親戚関係にあります。
英語の過去形の「were」と仮定法過去の「were」って、見た目が一緒なだけで、その由来は違うんだそうです。
小ネタです。
それでは「sein」の変化形です。
ich wäre wir wären
du wärest ihr wäret
er wäre sie wären
……はい!
これで接続法II式で覚えるべき活用形は9割マスター!
…と言いたいところですが、
これではまだ最低限とは言えません。
あとは話法の助動詞を
これにあと、「話法の助動詞」と呼ばれる助動詞の活用も覚えれば大丈夫です。
話法の助動詞と言うとちょっと小難しいですが、
要はkönnenとかmüssenとかのことです。
これらの作り方も、やはり同じ。
直説法過去形に、ウムラウトをつける。
ちょっと巻いていきましょう。
【können】
直説法過去形は、ich konnte, du konntest, er konnte…
そのため、接続法II式では、「o」を「ö」に変えて、
ich könnte, du könntest, er könnte, wir könnten, ihr könntet, sie könnten
【müssen】
直説法過去形は、ich musste, du musstest, er musste…
そのため、接続法II式では、「u」を「ü」に変えて、
ich müsste, du müsstest, er müsste, wir müssten, ihr müsstet, sie müssten
【dürfen】
直説法過去形は、ich durfte, du durftest, er durfte…
そのため、接続法II式では、「u」を「ü」に変えて、
ich dürfte, du dürftest, er dürfte, wir dürften, ihr dürftet, sie dürften
【mögen】
直説法過去形は、ich mochte, du mochtest, er mochte…
そのため、接続法II式では、「o」を「ö」に変えて、
ich möchte, du möchtest, er möchte, wir möchten, ihr möchtet, sie möchten
………おや?
と思った方、いるかもしれませんね。
そう、、接続法II式って、回り回って動詞の原形と形が似ているんです。
何なら、こっちが過去形のほうがスッキリしません?
確かに、「müssen」の過去形が「ich müsste」だったら、
これは規則変化になりますよね。
ここがまさに、多くの方が接続法II式の意味を「過去」と取り違える原因かと思います。
ですので、肝に銘じてください。「müsste」は接続法II式「現在」と。
困ったときは「möchte」を思い返すのもありかもです。
「Ich möchte nach Deutschland reisen.」あの時の「möchte」は現在(~したい)の意味でしたよね。
接続法II式現在は「現在」なんです。
ものすごーく、過去形を名乗っても良さそうな形をしていますが。
この意外性が「不規則動詞」の不規則たるゆえんなのでしょう……
例外の助動詞はこの2つ
……はい、さりげなく残り2つの助動詞を伏せていること、
そろそろバレる頃かもしれません。
その2つの助動詞とは、「wollen」と「sollen」。
「wollen」と「sollen」なのですが、
実はこの2つの助動詞、
「o」があるくせにウムラウトしません!
つまり、この2つについては、直説法過去形と接続法II式現在は全く同じ形になるんです。
……規則動詞のデジャビュですね。
考えてみれば、この2つは現在形以外は規則的なんですよね。
不規則(助)動詞とは言っても中途半端な感じです。
一応書きますと、
【wollen】
直説法過去も、接続法II式現在も、
ich wollte, du wolltest, er wollte, wir wollten, ihr wolltet, sie wollten
【sollen】
直説法過去も、接続法II式現在も、
ich sollte, du solltest, er sollte, wir sollten, ihr solltet, sie sollten
この2つについては、直説法と接続法の見分けがつかないのですが、規則動詞とは違ってよく使う単語なので、
結局どっちの形なのかは、文脈や使われる場所で判断、ということになります。僕自身、区別があやふやになることがよくあります。
ちなみに、僕の友人の方言では、ちゃんとウムラウトして「ich wöllte」「 ich söllte」と言うそうです。
この方言に残された「不規則な規則性」が標準ドイツ語に取り入れなかったことを、私たちは喜べば良いのか、それとも悲しむべきなのか…。
駆け足で来ましたが、接続法II式現在で最低限覚えるべき動詞はこれだけです。正直、みんな助動詞になってしまいましたが……
次の記事では、不規則動詞の中でもこれは覚えておいた方が日常生活でも便利、というものを取り上げたいと思います。
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