紛らわしいドイツ語の単語(1)zahlenとbezahlen
今日もお疲れ様です。Josapokoと申します。
これから何度かに分けて、「紛らわしいドイツ語の単語」について、その違いを書いていこうと思います。
辞書や文法書の説明に依拠するものもあれば、全くの自分の語感によるところもあるので、ご了承ください。
なお、内容についてはかつて書かせていただいていたブログ(「語学の散歩道」)と重複する部分がございますので、予めご容赦ください。
さて、最初に取り上げる2つの単語は、「zahlen」と「bezahlen」です。いずれの単語も、「支払う」という意味で日常的によく使う単語で、しかも形も似ています。
これらはどうやって使い分けるのでしょうか?
1.zahlenは、金額を直接目的語に取ることができる
二つの単語の違いを書くと、ずばり、
zahlen(~を支払う)は「支払う代金」が目的語に、
bezahlen(~に支払う)は「代金を支払う対象」が目的語に来ます。
例えば、
Ich habe 20 Euro gezahlt. (私は20ユーロ支払いました。)とは言えますが、
Ich habe 20 Euro bezahlt.とは言いません。
「20ユーロ」は代金そのものであって、支払う対象ではないためです。
一方で、bezahlenの「代金を支払う対象」とは何かというと、色々あります。「プレゼント」だったり、「夕食」だったり、「自身の過ち」だったり…。これらはお金そのものではなく、私たちはこれらにかかる代金を支払っています。
2.bezahlenは、人を直接目的語に取ることができる
また、bezahlenは直接目的語(4格)に「人」を置くことができるという点も大きな違いです。
Die Firma bezahlt ihre Angestellte sehr gut.
(その会社は社員にとても多く報酬を支払う=あの会社の給料はとても良い)
zahlenの場合は、「人」は間接目的語(3格)に置けます。
Die Firma zahlt ihren Angestellten sehr gutes Gehalt.
この文で「社員」を直接目的語にしてしまうと、「社員」が「代金そのもの」になってしまうので、何だか人身売買みたいですよね…。
同じ理屈で、「高給取り」という表現でも、
ein gut bezahlter Angestellter / eine gut bezahlte Angestellte
とは言えても、ein gut gezahlter Angestellterとは言いません。
英語でいうと「pay」に当たるのが「zahlen」、「pay for」に当たるのが「bezahlen」です。「be-」という前つづりを持つ単語は、その意味の中に前置詞(この場合はfür)を含んでいることが多いです。
もっとも、「代金そのもの」と「代金を支払う対象」が類似する場合もあります。例えば、家賃や料金などは、「代金そのもの」でもあるし「代金を支払う対象」でもあると言えます。こう言った場合は、zahlenもbezahlenも使えます。
Heute muss ich meine Miete zahlen / bezahlen.
(今日、私は家賃を支払わないといけない/家賃に対する代価を支払わないといけない。)
ご参考になれば幸いです。