元祖平壌冷麺屋note(13)
「ピビン麺って、辛いですか? どれくらい辛い? 大変?」
と、訊かれて、ちょっとだけ大変だった。質問するオバチャンのお連れさんが「それは感覚だから、人によって違うわよ」とツッコんでいた。
キムチが大丈夫でしたら、それほど辛くないですし、辛さは調整できますので、心配でしたら「辛さ控えめ」とか「マイルド」にも出来ますよ、と答えた。
自分自身は、カレーの辛さ20倍とか、プッコチュに味噌をつけて齧っても、割と平気な方なので、辛さに対しての耐性はある。
一度、某ラーメン屋のチャレンジメニューに「超激辛ラーメン」というのがあり、完食したら無料と書かれてあったので、挑戦したことがある。
唐辛子やラー油をふんだんに入れた、爆発した火山のようなラーメンだったけど、子どもの時から、麺類のスープはすべて飲み干さなければならない、という帝王学の中で育ったため、スープも含め完食した。
店員さんは驚いていた。辛さというのは、味覚ではなく痛覚が感知するらしい。痛みとして知覚されることで、脳がアドレナリンを分泌し、それが怒りに変わった。
「食べもので遊んではダメですよ」
その一言を残して、某ラーメン屋には、もう10年ほど、足を運んでいない。
ピビン麺を初チャレンジしたオバチャンに、「辛さは大丈夫でしたか」とお声がけをしたら、サムズアップが帰ってきた。
先日、「北朝鮮専門の著述家」さんとツーショットを撮る機会があり、「サムズアップしちゃって大丈夫なんですか?」とツッコまれたのが、後からじわじわ来たように、ピビン麺の辛さも、後からじわじわ来る。
やっぱり辛いわ、とオバチャンは笑顔で、付け加えた。