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鼻水との闘い【結論:裾で拭くな】


本日からまた月曜日。

土日に養われた英気は、春風に吹かれ
早くも消え去り、寒さのせいか、代わりに
半端じゃない鼻水が、垂れてきた。


「また・・・つまらぬものを
 拭いてしまった。」


やりきった表情で
斬鉄剣を収納する五右衛門さながら
幼稚園から、ハンカチを忘れる習性の僕は

社会人7年目にも関わらず
こっそり服の裾で拭いた。

(そして誰もいないか、周囲Check)


ちなみに、鼻をかんだ時の快感は

「鼻水を我慢した頑張りX」

という変数に比例すると思うが
中学時代に得たそれは、半端ではない
エクスタシーだった。

********

中学1年生の数学試験時

「これは、一体どう解けばいいんだよ。
 チクショー」

という難問に出くわした。


長方形の一辺を、5秒で動きまわる
クリスチアーノロナウドみたいな、点P


あえて早い時間に、兄が家を出た後
クリスチアーノロナウドみたいな脚足で
X分後に追い付く弟。


開始10分ほどは、これらの謎な設定に
疑問を抱くくらいの余裕はあった。


しかしその後、方程式では解決できない
別問題が、生じ始めた。


僕の鼻水が、止まらないのだ。


流れること、ダムが電力を得るかのごとく。

しかし本来備え付けられている
"水を貯めておく機能"は、全く作動しなかった。


カンニング対策の施されたテストのため
手元には、シャーペン・消しゴム・定規のみ。


古代エジプト人がパピルスから
紙を作りだしたかの如く
消しゴムカスを、定規で引き伸ばし
それで拭け・・・ということか。


生憎、そんな錬金術をする術は
持ち合わせていなかった。


しかし、地獄に仏とはまさにこのこと。
僕の目の前には、奇跡的に2枚の紙があった。

問題用紙と解答用紙である。

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解答用紙は、提出必須。

解いた問題の見直しはできなくなるが
問題用紙を生け贄に捧げ、鼻水を召喚しよう。

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周囲がカリカリと鉛筆を走らせる中

「くしゅん。ズルっ」

と謎の擬音を発した瞬間
僕の鼻腔には、お花畑が広がっていた。


問題がないため、もう後には戻れない。
男って生き物は、前しか向かねえんだぜ。

周囲と違う人間になりたかった中二病の僕は
謎の達成感と高揚に満たされ始めた。


文頭にも書いたが、ここでかんだ鼻以上に
スッキリした経験(エクスタシー)には
10年以上経った今も、出会えていない。


ところが、である。


二度目のムズムズがやってきたのだ。


残存勢力が

「我らも続くぞ!」と

学生運動ばりに奥から押し寄せてきたのである。


もちろん、僕も黙ってはいない。


バリケードに迫る学生たちを
盾で押し返す機動隊のごとく

第一波で濡れきった問題用紙を
これでもかと、鼻奥へ押し込み
何とかテストを終了することができた。


しかし、このあと担任から
耳を疑う一言が飛び出した。


「今回はいつもと違う形式だが
 問題用紙と解答用紙を、2枚回収するぞ」




Σ(・□・;)


僕は中二病だったが
デリケートな心を持つ青年だった。


自らの体液で、ふにゃと果てた問題用紙を
大衆の目に晒すことなどができようか。

(いや、できない)

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問題用紙回収時


「しぇんしぇぇ。。。
 もっ。。問題用紙がぁ、無くなりました」


と答えた思春期の僕が
何らかの不正行為を疑われ
職員室へ連行されたことは
言うまでもない。


No Pain No Gain


そして今日も僕は、襟で鼻をすする。

(そして、誰にもいないか、周囲をCheck)

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