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海外の幹部人材マーケットの状況
こんにちは、縄文アソシエイツのnote担当です。今日は少し目線を変えて、海外でエグゼクティブの転職マーケットがどう変わってきているか、私たちが理解している情報を共有したいと思います。
まず前提として、海外の企業の場合は以下のようなポジションの順番になっていることが多いです(偉い順)。
【外資系企業】
EVP⇒SVP⇒VP⇒Senior Director⇒Director⇒Senior Manager⇒Manager
【日系企業に無理やり当てはめると。。】
専務(EVP) ⇒ 常務(SVP) ⇒ 執行役員(VP) ⇒ 本部長(Senior Director) ⇒
部長(Director) ⇒ 課長(Senior Manager) ⇒ 係長(Manager)
ここではアメリカのテック企業での例を出しており、ヨーロッパの企業だと、また国ごとに少しずつポジションの呼び名が違う&金融だと、VPよりDirectorの方が上だったりすることもあり、あくまでイメージを掴むためのいい加減なものだとお考えください。外資系の方からすれば常識かもしれませんが、日系企業にお勤めの場合は、全く馴染みがないので新鮮に感じる方々もいるかもしれません。
ちなみに、外資系企業では、一般的にはAPACの責任者になるとVPクラスとなることが多く、昔は日本法人の社長になれば、それでVP扱いのことが多かったのですが、日本経済の凋落に合わせて、日本法人の社長でもSenior DirectorやDirector扱いの会社も出てきており、大手だとDirectorクラスだけでも全世界に数百人いることもあり、日本法人の社長というとかなり偉いと思いたいところですが、グローバルには、本部長か部長クラスか、、と思うと少し悲しい気分になります。
とはいえ、日本法人の位置づけはやや下がってきている一方、グローバル企業でのDirector以上のクラスの給与の伸びは凄いことになっており、株式報酬込みにはなりますが、Directorで50万ドル以上、VPであれば150万ドル以上、SVPでは数百万ドルを平気で越えてくる企業も出てきています。
上記の通り、Directorが本体の部長クラスとすると、日本の大企業でも部長クラスで1500万円ぐらいの会社も多く、下手すると、日系企業だと上場していても社長の年収が5000万円以下ということもありえるので、外資系企業でDirector(部長)になる方が、一部の日系企業で本社の社長になるより給与が高いという驚きのケースさえ発生してきています。
もちろん、先日、同業のヨーロッパやインドのパートナーと話をしたときは、上記の報酬の話はアメリカのテック企業が数字を牽引しており、ヨーロッパやインドでも普通の企業ではそこまで行かないとのことで、CEOクラスであれば数百万ドル、Directorだと20~30万ドル程度が一般的だという話もあったりしますので、上記の話も、そんな現象も世界では一部起きている程度に捉えていただければと思います。
では、そういう中で、海外でのヘッドハンティングの現場では何が起きているでしょうか?
まず一つは、ヘッドハンターのインハウス化です。私たちのような専門のヘッドハンティング会社(通称、エグゼクティブサーチファーム)の人間を事業会社が採用し、その会社の中でヘッドハンティングの業務を完結させようという会社が出てきています。
これはメリットとしては、経営幹部の報酬の肥大化に伴い、当然増加してくるヘッドハンティングへの報酬をコストダウンできるだけでなく、その会社専門のヘッドハンターとして動くことにより、第三者であるヘッドハンターよりも、候補者に対して、会社の魅力や業務の説明をより深くできるという期待があります。一方、専門のヘッドハンティング会社と比較すると、どうしても定期的にカバーできる候補者の数や、新しい候補者のリサーチ力に劣るという指摘もあります。
傍から見た印象としては、Directorクラスでの採用が非常に活発な会社はインハウス化を積極的に進めている感じがしますが、そういった会社でもVP以上の採用になってくると、自社のネットワークだけでは足りず、外部のヘッドハンティング会社も活用していることが多そうです。
日本でもヘッドハンターのインハウス化は今後起きてくると思いますが、そのためには日本企業の部長クラスの年収が今の倍以上にならないと難しいかな、、というのが担当個人の印象でしょうか。
他に起きている現象としては、バックグラウンドチェック(通称、リファレンス)の厳密化と自動化でしょうか。日本に比べれば、海外の方が解雇規制は緩いことが多いとはいえ、やはりミスマッチを防ぎたいという気持ちに変わりはありません。オンボーディングおよびオフボーディングの手間、またその後に改めて適正な候補者を探す期間やコストなどを考えると、防げるミスはできるかぎり防ぎたいというのが本音だと思います。
個人情報保護の高まりもあり、日本でも過去あったように、探偵や興信所を使って勝手に調査するということは今の時代出来ませんが、候補者の了解を得て、前職や現職での上司、同僚など複数の人々から、その方の仕事ぶりやマネジメントのスタイルをヒアリングし、経歴書の記載事項も相違ないかなど確認するということは一般的ですし、日本企業しか知らない方はビックリしてしまうと思いますが、オファーを出す条件として、バックグラウンドチェック(リファレンス)で問題ないことが、どんなに上のポジションのスカウト案件でも当然のようにプロセスで入っています。
しかも、かなりの部分自動化されており、システムに協力者の名前と連絡先を人数分入力すると、自動的に質問票が飛び、適宜、口頭でのヒアリング依頼があり、それを回答者が特定されないようレポートに纏めてくれるなど、システムもドンドン改善が進んでいるように見受けられます。
日本だと、まだ馴染みがないせいか、バックグラウンドチェックやリファレンスと言われると、ちゃんと説明しないと、失礼な!と怒ってしまう方もいますし、採用する企業側も必ずしも求めてくる訳ではありません(縄文では紹介する方については原則取得しています)。
ただ、私たちがお会いしていても、これは経歴のアピールというにはやや誇張気味、見方次第では虚偽の記載と取られるかも、、という人がいることも事実で、レファレンスを取ったらあまり良くなさそうだな、という方については私たちは紹介を控えていますが、今の日本では、そういう人たちも十分転職できてしまうマーケットですが、今後、バックグラウンドチェック(リファレンス)の厳密化と自動化が日本でも進めば、昔気軽な気持ちで行ったことや言動、過去の経験が、後々響いてくる可能性もあり、個人的には、周囲の評判は大事にした方がいいですよ、というのが感想でしょうか。
長くなりましたが、海外の幹部人材マーケットの状況の変化と日本への影響についていかがだったでしょうか? 面白ければ、ぜひスキボタンも押してくださいね!