魂が震える体験が原点 医療人の姿から得た、成長と喜び
今回のインタビューでは、人事チームのニシダが、営業戦略部 部長の細木さんにお話をうかがいます。
医療VR事業の要と言われる細木さん。社内のみならず、医療VR業界そのものをけん引する存在であり、個人SNSのつながりは、ほぼ医療関係者。投稿を見ると、学会への登壇、海外・学校への講演など、医療VR業界そのものを盛り上げている様子がよく分かります。社内メンバーからは「細木さんほど信念を持って本気でやっている人がいるから、今のジョリーグッドがある」の談。医療VR事業の立ち上げ当初から在籍し、現在も統括の立場ながら、最前線で医療と顧客に向き合い続ける細木さんの想いをお聞きしました。
まずは個人として、医師ひとりひとりにメッセージ
ー細木さんは、まったく畑違いの業界からの転職で、入社したとお聞きしました。
はい。音楽、ゲームコンテンツ、書籍など、一貫してエンターテイメントの業界に20年ほど在籍しました。その中で営業、製造、小売、事業企画など、川上から川下まであらゆる職種を経験させてもらえました。最後には、ステップアップして経営企画まで携わることに。でも同時に、立場に反比例して、自身と社外のつながりが薄れるのを感じていました。エンタメ業界そのものが成熟しきっているのを間近で見て、やりきった思いもあり、異業種への転職を志したところに出会ったのが、ジョリーグッドでした。
ーVRはエンタメ業界でも活用されているテクノロジーですよね。いっぽう、業種は医療。壁は感じなかったのでしょうか。
実は、僕が入社した2018年当時、ジョリーグッドはまだ医療の事業を開始しておらず、TV局向けのエンタメ事業がメインでした。なので、むしろイメージしやすい入口だったんです。医療事業を開始したのは入社から1年を過ぎた頃ですね。
ですが、その医療事業開始までが壮絶な1年となりました。僕は営業の部門長に就いていたのですが、かなり長い期間、1円も実績が出せず。何とか成果を出そうと闇雲に動き、VRを求めているのが誰なのか、顧客の顔が見えないままでした。
なので、当時ほぼ競合不在だった、医療×VR事業にアクセルを踏むことになった時は、社長の上路さんに、クライアントをひとつ預からせて欲しい、と直訴しました。自分自身、100%プレイヤーに徹して死ぬ気でやりたい、と全面的に任せてもらいました。
ージョリーグッドが医療業界に足を踏み入れる前から!初期は成果が出なかったというのも、今の細木さんを見ると意外に感じます。
これまで自分の培ってきたスキルが、活かせていなかったと思っています。
転職時の僕は、これから市場を作っていくフェーズであれば、商品は何でも良かったんです。売り方を考え数字を作ってきた実績がありますし、自信もありました。なのに、なぜうまくいかないのか、考え抜いた末に、「自分自身に『こだわり』が足りない」ことに思い至ったんです。
対価を戴いてモノを提供する以上、扱うもの、相手、携わる業界にこだわり、深く知った上で価値を伝えることができなければ、突破できない、というのが、行き着いた答えです。
なので、医療業界を徹底的に学び、自身をリビルドするところからスタートしようと。
ーとは言え、会社自体が医療への新規参入状態ですよね。どのように勉強を?
僕らのサービスに実際に触れる、医療従事者の方々に話を聞かせてもらいました。現場の声を聞かない限り、どう使うかはイメージできず、リアリティに欠けます。
まずは、医師の方と意見交換出来る場所としてSNSを活用するようにしました。ビジネス云々以前に、僕個人が医療従事者と話が出来る人間にならない限り、前に進めない、と。
医療従事者の方々が集うコミュニティへの参加をきっかけに接点を持たせて戴き、そこから一歩づつ地道に繋がりを拡げていきました。もちろん、仕事抜きで「純粋に勉強させて下さい」という姿勢で臨みました。こちらからはVRのプロとしてお伝えできる情報があればもちろんお話しさせていただいて。
最初は反応もほとんど得られませんでしたけど、それでも興味を持ってくださった方とは何度もやり取りをさせて戴くようになりました。そういったやりとりを経て信用して戴き、そこからまた次のご縁に繋げて戴けるようになっていったと思います。
ー細木さんのSNSには医療関係のお知り合いが大勢いますが、まさかそんな地道な活動の賜物だったとは…
メンバーと環境が示唆する欠けた視点のヒント、成長の起爆剤に
そもそも、成果が出ずに苦しんでいる時に得た、『こだわりを持つ』というヒントは、社内のメンバーから得たものでした。
僕はエンタメ業界に20年身を置いていたものの、クリエイターやエンジニアのような、ものづくりをする立場の人との仕事は、ジョリーグッドがはじめてでした。そこで気づいたのは、クリエイターは「こだわる」ところから仕事をスタートさせていること。
もちろん、無駄に固執するという意味ではなく、細部まで考えぬき、丁寧に取り組むという意味です。そんなメンバーの仕事ぶり、立ち居振る舞い、発言、プライベートに至るまで、大いなる学びと刺激を受けました。
ジョリーグッドでは、営業を「セールス」と呼ばず、「ビジネスプロデュース」と呼びます。「売る人」ではなく、あくまでプロデューサーなので「考えて、作って、届ける人」。当時の僕はまだ、それになっていなかった。一緒に働いているクリエイターからこだわる重要性を学び、道がひらけた大きな転換点だったと思います。
ーものづくりに真摯に取り組むメンバーからの触発ですね。ジョリーグッドには、創業早期からプロ人材が集まっている印象を受けます。世の中的に人材獲得難が長く続く中、どうしてみんなここに?
そうですね、確かに様々なバックグラウンドのエキスパートが集まっていますよね。
ジョリーグッドの個性・特徴のおかげかな、と思いました。
この会社って、『人がやらない方法で何かをすることを面白がれる文化』があるんですよね。「決められた枠の中で、戦え・競え」とはまったく言われない。むしろ「その枠の外側から丸ごと吸い込もう」ぐらいの感覚で常にものを考えています。
日々の社長のメッセージも、ルールメイクする側のマインドを醸成する内容です。
これがあると、あらゆる分野でトップの立ち位置にいる人も、縛られず、のびのびと仕事ができるんですよね。これは、優秀なメンバーが引き寄せられているポイントだと思います。
医療人の姿から得た、成長と喜び
ーここまでで、医療×VRという革新的な事業推進の裏では、地道に礎を築かれていることがよく分かりました。
自分が信念を持ってやり続ければ、必ず返ってくるということを、この4年で証明できたと思っています。同時に、「諦めない心」を貫けたことは、僕がジョリーグッドで成長できた点だとも。諦めず、継続し、折れない。やり切る。上路さんもよく言っています。とにかく「やり切る」ことが重要だと。
とは言っても、ジョリーグッドはスピードも重視する会社です。変化が必要な局面もこれまでに多々ありました。変化が多いことと、1つ1つをやり切ることとの両立って難易度が高いんですよね。変化することと途中で投げ出すこととは全く違う。やり切るということを考えたら、根幹は変えないように意識しつつ、柔軟にアジャストしていく姿勢が必要になる。そのような「やり切ることと変化の両立」が達成できたのは、ジョリーグッドだからこそ、だと思っています。
ーどんな要素がそうさせたのですか?
『医療』と、そこにまつわる人々がクライアントだったからです。
医療従事者の皆さんは、やり切る達人です。世界がどんな状況になっても、最後の最後まで、手を止めない人達が医療従事者。これまでたくさんの医師に会って来ました。皆さん、生き方に信念があり、尊敬する方々ばかりです。
僕は、そういう人達に刺激をもらってきました。それに応えるために、やり切る。そして、そのためには同時に変化もしなくてはいけないし、変わってはいけないことを守り続けるのも大事です。
そのバランスを取りながらスピードを保てているのは、ジョリーグッドならではの文化と、クライアントである医療業界からの影響だと思っています。
ーこれまで医療従事者の声を聞き、サービスも意見もナレッジも、色々な形で直接やり取りされてきた細木さんだからこそですね。
クライアントからいただく刺激は本当に多いです。
例えば、僕らのソリューションをお届けした時の反応は、僕の大きなモチベーションのひとつです。
僕らの商品は教育用途が多く、教える側、教わる側の両面から声をいただきます。初めて触れられる時はいつも、こちらの想定以上に喜び、驚いてくださいます。VRゴーグルをのぞいて、「座学では得られない圧倒的な経験値を学生が得られる!」「学ぶことが楽しくなる!」と言ってくださる。
これ以上の言葉はないです。感情を揺さぶられる経験ってずっと残るし、忘れないですから。確実に学びの加速になっていると思うんです。
世界がこの先どんなに厳しい状況になっても、医療って最後の最後まで手を止めない仕事じゃないですか。我々のソリューションは、その手の数が増える未来に繋がっているんだと感じて、魂が震える瞬間が何度もあるんです。何にも代え難いやり甲斐です。シンプルに、それが楽しくてこの仕事をやっているとも言えますね。他では、なかなか味わえない経験です。
ー今後はどのようなチャレンジ・目標を掲げているのでしょうか?
まずは、JOLLYGOOD+(ジョリーグッドプラス)を完成させることを目指しています。
医療従事者同士の経験をVR映像にアーカイブし、シェアするプラットフォームです。僕らが用意したVRコンテンツではなく、提供する土壌を医療従事者が活用して自走してもらえるような形をイメージしています。本気で社会実装を目指していて、これをやり抜くことがチャレンジです。
医療関係者からはすでに熱い支持をいただいています。事例やナレッジをシェアできれば、同じ時間で何倍もの質量で経験値を上げられるはず。短い時間で大きく成長すれば、その分多くの命が救えます。
ー業界そのものにも影響力の大きなプロジェクトですね。
僕自身は人の命を直接救えるわけではありません。命を助ける医療従事者をサポートする立場です。だからこそ、今後は医療自体を、いい意味で変えて行けるような発信を僕自身がしたいなと思っています。
現在僕がしている発信は、「●●をやりました」という結果報告が中心です。今後は「●●があると良い」「●●にしてはどうか」といった提言に繋がる発信もしていけるといいなと。そのためには、より実績を重ね、もう一歩奥へ踏み込み、切り拓くことが必要です。いち企業の取り組み発信の先に進み、多くのパートナーを巻き込みながら、医療の世界で革命を起こしたい。
これが、個人的に目指すチャレンジです。
ー「革命」という言葉が大げさに聞こえない未来に向けて、また一歩ずつ前に進んでいることがよくわかるインタビューでした。
(ライティング:橋尾 日登美)