死刑囚表現展2024 其の十一
*感想は私の独断と偏見です。
風間博子作品
風間の作品は絵画と短歌でした。
いくつかある絵画のうち、1つは点描というスタイルで描かれた天使の絵でした。
私は個人的にこの点描を見るのが苦手です。
怖い、とか不気味、とか感じてしまうんですね。
たぶん子供の頃見ていたホラーちっくな絵に
こういう点描の作品が多かったからだと思います。
また他の作品では繊細な線とタッチで描かれている鳥の絵があるかと思えば
力強く大きな龍が描かれていたり。
様々なスタイルの絵画がありました。
どれも色も多彩で絵を描く才能が長けているように見えました。
全体的に幻想的でファンタジーちっくな、現実とかけ離れていてあまり主張のようなものがないように感じました。
死刑囚達の絵は「欲」や「主張」が多い中、彼女の作品にはそれが感じられませんでした。
でもその中にも「生」への秘めたメッセージがあるようにも感じました。
短歌の方がストレートに思いを吐き出している印象です。
彼女の犯した事件はもともと知っていました。
あの有名な「埼玉愛犬家連続殺人事件」です。
これも映画化されていて、私も最初は映画で知りました。
あの映画は私の見た中で1番怖かったです。
怖くて1度しか見れていません。
しばらくはデンデンが他の映画やドラマで良い人の役で出ていても怖くて見れませんでした。
デンデン、トラウマです笑
ただ映画は脚色が入っているし、風間は冤罪を訴えていると聞いていたので
ちゃんと詳しく事件の真相を調べてみました。
夫婦でペットショップを経営。
詐欺的な売り方でお金を稼いでいたので
それがバレそうになった人達を毒薬で殺し、遺体を「透明」にして痕跡を消した、という事件。
4人の殺害は立証できたけど
ほんとはもっとたくさん殺されている可能性があり。
ただ遺体を「透明」にしてしまったので4人しかわかっていない、というものです。
風間は夫と共謀して3人の殺人、死体遺棄、死体損壊の罪になっているが自分は殺害はしていない。
死体遺棄、損壊は夫に逆らえなくてやったもの。だから無罪を主張して再審請求をしているらしいです。
調べてるうちにネットでこの夫婦の子供の話が載っていました。
この子供、今はもう大人ですが夫の関根とは血が繋がっていなくて小さい頃から関根に虐待を受けていたそうです。
母も暴力を関根から受けていて、いつも自分を守ってくれていた。
そして母は関根と離婚したがっていたけど
怖くてできなかった。
でも月日が経って別居するようになって、その別居した時期にこの4人の殺害をしていたので風間はこの殺人については知らなかったし関わってなかったし、別居している時に呼び出されて死体の処理を半ば強引にさせられた、という事。
今でも母が好きでそれを信じたいから
本当に殺人を犯したかはハッキリ言ってわからないからちゃんと捜査をして欲しい。
と複雑な胸中を語っていました。
もし本当に関根からのDVがあったとして…
怖くて離婚できなかった。
周りから見たら仲の良い夫婦に見えても
実は怖くて逆らえなくて仲の良い風に接してきただけだった。
そういう事だとしたら、まぁ気持ちはわかる。
私も似たような経験をした事があるので
もしDVが本当だとしたら風間の気持ちや行動は理解はできる。
でも死体損壊、遺棄は継続してしちゃてるからなぁ…
1人目の時に自首してればその主張も通るかもだけど。
ちゃんと捜査って言っても、風間は自分で遺体を「透明」にしてしまったから難しいと思うんだよね。
自分でやった事で証拠も何も残ってないわけだから仕方ない。
って正直思ってしまうんだけど。
ただ私はこの事件とか風間がどうだって事より気になったのは
「死刑囚の子供」のこと。
この夫婦の子供以外にも死刑囚の子供という立場でいろいろ発信されている方を3名ほど知っていますが
4人とも共通してるのは自由に進学、就職ができなくて常に秘密を抱えていて
親の話題になると怯えて
地に足のつかない不安定な生活、人生を長い事してきた、という事。
そして気持ち的には母に対して好きだけど、好きになりたいけどその気持ちを素直に認められなかったり認めちゃいけないと感じていたり、すごく複雑な思いを抱えているという事。
子供達って無関係でむしろそんな親の被害者の1人だと思う。
加害者の子供にカウンセリングを受けてもらう機会を作ったり、進学の支援をしたり、もっと守ったり支えるような支援をして欲しい、と私は思います。
個人の支援や思いや価値観の変化も必要だけど、そういう社会にしてくにはまず国が方針を定めないといけない。
加害者の子供にそんなもの必要ない。
被害者にもっと手厚くしろ。
という意見もありそうですが
子供も、子供というだけで親と同じように加害者だと思いますか?
子供に正しい教育、愛のある生活、安心した環境を与えることは、後の犯罪を減らす事になると思っています。