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さるかに合戦をファンシーにしよう【ゆるエッセイ】

さるかに合戦って、割とグロくないですか?

まず、かにが青い柿の実で潰されて、ショックで子どもだけ産んで死ぬってヤバすぎ。
子ども絶対未熟児とかだし、なんらかの障害が残りかねんぞ。
てか、生き物の殺し方として潰すっていうのがやだ。なんか殻がぐちゃあってなってて、ひしゃげた隙間から汁がぶちゅって出てるとこ想像しちゃうわ。

そんで、栗、臼、蜂、牛糞の攻撃方法も、仕返しとはいえエグい。
囲炉裏で弾けた焼き栗による火傷とか聞くと、火の粉が目とかに入るようなイメージしちゃう。
蜂に刺されるのも体内に毒が残って厭だし、牛糞で滑ったところを臼が潰すのは言うまでもなくエグみがある。
うんこで足を滑らせる部分、だいぶ気分悪くなるよな。さるだから、たぶん裸足だし。
そんで仕返しも潰すんやな。さるを潰すとなると、今度は頭蓋が砕けて、頭から足までが圧縮された姿がイメージされて厭すぎる。

そもそも、かにが柿の木を生やすときの歌からしてなんかこの話、不穏だぞ、って思うんだよな。
「早く芽をだせ柿の種、出さなきゃ鋏でちょん切るぞ」だよ。
トトロでもまっくろくろすけの目玉ほじくろうとしてるし、このくらいはまだ普通(?)にせよ、不吉さや作風はすでに現れてるよね。
作者のこと全然知らないけど、そういう趣味なんだろうか。ちいかわ(ナガノ大先生)みたいな。

そんなわけで、今日はさるかに合戦の登場キャラクターたちを全員降板させて、ファンシーにしちゃいましょう。

まずさる。
さるは、知能高めだし、最終的に殺される役としてはちょっと適さないんじゃないかな。イルカやクジラ食だって知能の高さから反対されてる意見があるわけだし。
民話なら民草がなるべく受け入れやすい内容がいいよね。
というわけで、痛覚がない生き物を探したい。しかし、ざっと調べた限りでは、まだ無脊椎動物の痛覚など、痛みに関しては未解明な部分も多いようだ。
そこで、脳がないため「痛みに対する認識をしない」とされている牡蠣などはどうだろうか。潰されたときのビジュアルも、食べ物的なイメージが先行するためか、そこまで悪くなさそうだし。

では次に、かに。牡蠣と対立させるのであれば、やはり海の生き物がいいだろう。その点からするとかにでもいいのだが、潰されたビジュアルイメージがあまり良くない(主観)。
じゃあまぁ、牡蠣と同じく脳を持たず、しかも食べ物としてのイメージが強いウニにしますか。

するとお話はこんな感じか。

むかしむかし、ウニが拾ったキャベツを持って海底からわずか数ミリの高さでぷかぷかと浮かんでいた。すると、ずる賢い牡蠣が……。

ちょっと待った。脳がないから、ずる賢くないよね。
うーん、でもまぁそこはお話だし、擬人化ということで。

たまたま近くの岩場にいた牡蠣が(拾ったプランクトンと交換しよう……)と、未知の力でコミュニケーションを図ってきた
ウニは最初は嫌がったけれど、牡蠣が(キャベツを食べられる生き物は海にはあまりいない。だけど、プランクトンを食べる生き物は多い。プランクトンを使った漁をすれば、さらに大きい獲物を捕らえられて、ずっと得するんじゃないかな……)とうまいこと言いくるめたので、ウニはキャベツとプランクトンを交換した。

……まぁ、牡蠣がキャベツをどうするのかは知りません

ウニはさっそく、もらったプランクトンを自宅付近に撒き散らし、「早く食われろプランクトン、さもなきゃ存在価値がない」などと生命に対する冒涜的な歌を歌った。やがて、ウニの思ったとおり、プランクトンを食べに小魚たちがたくさん集まってきた。

さて、またしても話が進まなくなった。ウニの主食はそもそも海藻類。牡蠣の主食も植物性プランクトンだからなぁ。
……ああ、じゃあ、こんな感じにしよう。

しかし、そこでようやくウニは、魚を食べられないことに気がついた。騙されたことに怒り、ウニが牡蠣の元を訪れると、すでにその場はもぬけの殻(※牡蠣は生涯移動しないと言われているが、ここではテレポートを使ったものとする)。
餌をなくしたウニは哀れ、餓死してしまった。
しかし、オスであったウニは、死ぬ直前に、精子を肛門付近の生殖孔から海水中に放出した。それが運良くメスのウニの卵と受精し、ウニの子どもが誕生した。

これなら、圧死グロすぎ問題も解決していい感じだね。

やがて親と同じ形の稚ウニとなったウニの子ども。
父親の死亡した理由をなんらかの天啓により知った稚ウニは、カンカンに怒って、敵を討つために、牡蠣の意地悪に困っていた他の二枚貝たちに相談した。
日頃から、あの牡蠣は二枚貝の恥晒しだと憤慨していたため集まってくれた、アサリ、ハマグリ、ホタテ、ホッキガイの4個とともに、ウニは敵討ちを計画した。

大戦争って感じだね。やかましいわ。

さて、4個の貝たちは、牡蠣が張り付いている岩場の近くへ忍び寄る。
アサリは砂に潜り、ハマグリは砂に潜り、ホタテは薄く砂を被り、ホッキガイは砂に潜った。そして……。
……しかし、貝たちは特に何もできない
遠くから見ていたウニがイライラしていると、そこへ、牡蠣の天敵とも言われているクロダイが現れた。
チャンスだ!体の大きいホタテが貝の中に入っていた海水を勢いよく吐き出して飛び跳ねながらクロダイを呼び寄せる。
アサリも出水管から水を噴き出し、お手伝い。
ハマグリは、水管の付け根にある粘液腺から、透明な粘液をひものように出して潮の流れに乗り、牡蠣のいる方へクロダイを誘導する。
おしまいに、ホッキガイがモグラのごとく力強く砂を掘り、潮の流れを利用してホタテ、アサリ、ハマグリを砂の中へ器用に回収。

牡蠣はクロダイに捕食され、生態系は循環した
ウニたちは、見事に親ウニの敵を討ったのであった。
めでたし、めでたし。

いやぁ、ファンシーでしたね。
俺の感想としては、貝の数え方『個』なのなんかやだなって感じです。

今回は以上。では、また。

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