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異なるミル・グラインダーの抽出同期をTDSから導く
今回は、少し前のネタで「TDS(濃度)計」と戯れた事案を紹介します。
わが家に新しいグラインダーが仲間入り
3月上旬に初訪店のAロースターさんでニカラグア産でキレある酸味豆を焙煎度合61(Agtron number)でいただき感銘したので、早速購入して抽出挑戦しましたが、これが難敵でなかなか味が再現出来ず、遂に白旗でした。
ま、相手方グラインダーがMahlkonig EK43でしたので撃沈でも仕方ないかも。思い通りのハッキリと輪郭のある酸味は出ませんでした。
この時、わが家のグラインダーはメイン「Fuji Royal R-220 みるっこ」で、お助けマン「COMANDANTE C40 Mk3」で何とか凌げましたが、固い浅煎り豆の手挽きは地獄でした。
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そこで中煎から浅煎のハンドドリップの幅を広げ、細挽きを柔軟に対応できる電動コニカル刃の必要性を強く感じました。超細挽きエスプレッソは淹れず、細挽きマキネッタだけなので、単純に物欲購入のための言い訳ですね…
Varia VS3 グラインダー (第二世代)登場!
(Hypernova Titanium VS3専用替刃に置換)
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この時期の主な抽出メソッドは4投注入式(HV6_100/8#132(1))のオーソドックスなタイプで、いま主流で使う4:6Method(K4:6V6_M/3/3)と比べて抽出時間の差異もありTDS値0.07~0,04%程度低く抽出されていました。
COFFEE BREWING DATA BASE/基本情報
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抽出の際、180mlを±1ml程度の誤差で仕上げるため、ちょっと特殊な量り方をしています。
①スケールに抽出液を受けるカップ又はサーバーを載せてからゼロ設定を行います。
②その上に「ドリッパー+フィルター(Wet)+豆」をセットします。この時重さは約93.3~93.6gになります。量る単位が微細なので調整して95gとして扱い、スマホアプリ/ドリップタイマーには注湯量+95gとして計測登録します。(OnCap+の列)
③ドリップが最終段階になってきたら、「ドリッパー+フィルター(Wet)+豆」セットをカップ(又はサーバー)から浮かし、180gまで入れれば終了で後はセットを外します。
この時フィルターをリンシングしなければ異なった調整になります。
ドリップを落とし切りで終わらせる場合やサーバー目盛で計る場合は、こんな面倒な事はしなくていいです。
COFFEE BREWING DATA BASE・TDS&収率/抽出環境
初訪店のBロースタリーさん購入日から2週間エイジング(冷凍保存)したのは、初めて体験する浅煎り-Light Roast焙煎豆だったからです。
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同一豆でこれだけTDSを計る検証パターンは稀です。その理由は…
・初めて訪店したBロースタリーさんでの購買(過去データの積み上げが無いので)
・比較するグラインダーの特性や得意範囲が異なり、抽出レシオ(豆量:抽出量)の決定を迷ったこと。
・Varia VS3に対するスキル不足
などです。
抽出同期の元になる「みるっこ」BREWING DATA
TDS値1.28%、収率16.0%…おおよそオーソドックスな値です。
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抽出同期をさせたい「Varia VS3」挽き目表
![](https://assets.st-note.com/img/1717768083979-lSbUjpI7OU.jpg?width=1200)
因みに「Fuji Royal R-220 みるっこ」の挽き目表
![](https://assets.st-note.com/img/1717768204513-cbfvBkLUx7.jpg)
抽出同期をさせたい「Varia VS3」BREWING DATA
まずはPOUR OVERエリアの中間値「09.0」から…想像以上にパウダーぽくないか?
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更に検証を続けて粗目の方向FRENCH PRESSエリアに…
流石に「15.0」で立ち止まります。
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おそらく続けて挽き目を上げてTDS値1.28%に近づけることは可能だと思われますが、粉の均一性がどうもおかしいと感じ、粉の観察を行いました。
その結果…
Varia VS3挽き目「15.0」
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因みに、みるっこ挽き目「4.5」
![](https://assets.st-note.com/img/1717768662013-9t4QVHUDeQ.jpg?width=1200)
ここで抽出レシオ変更です。豆8.0g→7.5g/100ml
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ほぼ同じ値になりました。
微調整(湯温やメソッド変更など)すれば同じ値も出る可能性が見える。
柑橘系の酸味やあと味にカカオ系甘味などが感じられイルガチャフィらしい味わいかな…。
更に収率を上げるために抽出レシオ変更して豆7.5g→7.0g/100ml
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COFFEE BREWING CONTROL CHART
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さて、チャートを眺めていると何か気付かれたでしょうか?
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挽き目と豆量の間には規則性の高い関係が存在することを…。
挽き目13.0/豆量13.5g(7.5g/100ml)→TDS値1.37%
挽き目13.0/豆量12.6g(7.0g/100ml)→TDS値1.30% …その差0.07%
他のケース
挽き目12.0/豆量13.5g(7.5g/100ml)→TDS値1.41%
挽き目12.0/豆量12.6g(7.0g/100ml)→TDS値1.34% …その差0.07%
つまり抽出予測として…
挽き目12.0/豆量11.7g(6.5g/100ml)→TDS値1.27% …その差0.07%、そして収率19.5%
更に豆量(11.3g位かな?)やメソッドで調整すれば…
SCAが定める適正抽出エリア(いわゆるゴールデンカップ)はもちろん、そのど真ん中TDS値1.25:収率20.0%にハマる可能性はあります。
SCAが定める数値に捕らわれる必要はありませんし、味わい方が自分に合うかは判りません。
しかし、その手段を理解出来れば更にコーヒーの世界が広がっているかもしれませんね。
ミル・グランダーの特性を生かした「棲み分け」とは
TDS値の結果でグラインダーの性能や特性が判明する訳ではありません。
しかし「収率」にこだわるならグラインダーにもこだわる方が良いかもしれません。
コーヒー豆の抽出プロセスには焙煎や粉砕(粒度)、豆量、湯温、淹れ速度などが関係しますが、抽出上位プロセスである焙煎に続く、粉砕(粒度)や豆量に対してグラインダーの位置付けは重要と考えます。
収率は「コーヒーの粉から液体にどれだけ成分が溶け出したかの割合」で、粒度(挽き目)と豆量(抽出量との割合)が重要なパラメーターとなるのでグラインダーの挽き目調整に注目する訳です。※もちろん粒の均一性や微粉対策も大切!
あとがき
今回、やり残した抽出(同じ豆、焙煎度、エイジングなどで)があります。
・SCAが定める適正抽出エリア(いわゆるゴールデンカップ)中の、
ど真ん中TDS値1.25%、収率20.0%にすること。
・みるっこの挽き目「3.0、3.5、4.0」/豆量14.4g(8.0g/100ml)を試して味わいを見たかった。
なぜなら、今回一番気に入った抽出が…
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ですから、「みるっこ」でTDS値を上げて味わいがどれだけ異なるか確認したかったです。
これで圧倒的に「Varia VS3」よりポイントが高かったら、その立場が…。
これが「お戯れ」の結末か…