掌編小説 いつもハッピーエンド「雨」 ショートショート 文芸
雨の日は嫌いじゃない。外に出たら服は濡れるし、靴に雨が入って靴下はグチョグチョ。だけど、雨の日は何だかテンションがあがる。
傘をさすと、雨粒がバチ、パチと当たる。家を出る時、いつも、迷う。好きな傘が多すぎるんだ。黒地に白の水玉。黄色のスヌーピーだって可愛い。ラメの入った透明傘は、傘越しに空を見上げると、虹がかかったみたい。
今日は、ラメ入りの透明傘にしよう。
家から駅までは、歩いて15分、坂道を降りて行く。今日は、スニーカーを止めて、最近、買ってもらった、水玉のレインブーツを履いてきた。
レインブーツは最高だ。靴下も濡れていない。へっちゃらだ。
駅に着くと、電車はまだ、来ていない。ホームで、電車を待っていると、
レインブーツに雨粒がついて、ツーと地面に垂れる。
電車が、線路に水しぶきをあげながら、ホームに入ってくる。
電車の扉が開く。若い女性や、お年寄りが次々にホームに降りる。
スーツの男性がホームに降りてきた。
「おかえり。迎えに来たよ」