掌編小説「キャラメル」 3分 ショートショート
僕は迷ったときには、難しい方を選んで生きてきた。勉強は苦手だったけど、その分、直感には優れていたんだと思う。
仕事で、誰もがやりたがらないようなことでも、なんだかできそうな気がして、手を挙げた。
他人の冷ややかな目を感じながら、よく考えた。考えてる時には、頭がくらくらしてくる。
そんなときには、黄色箱のキャラメルを口に放り込む。なんとも言えない、甘さが口に広がる。箱のエンゼルが微笑む。
キャラメルを食べれば、頭が冴えてなんでもできる気がした。
いつも、問題をどう解決するか、寝ている時も考えていたくらいだ。
そのおかげか、朝、起きると、一つのことが別の問題と解決できていた。仕事は順調そのものだったと思う。
ある日、寝ていると、自宅の電話がなった。親が交通事故にあったとの報せだった。
着の身着のまま、家族を起こし、病院に駆けつけた。
病院に着いた時には、もう息を引き取っていた。
それからのことはもうあまり覚えていない。裁判が終わるまでには3年かかった。
僕は、悩んだ時に、キャラメルを食べる。
エンゼルが微笑んでくれるから。